Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年4月21日 No.3542  サステナブル投資やスチュワードシップ活動等に関する取り組み -金融・資本市場委員会建設的対話促進ワーキング・グループ

経団連は3月25日、金融・資本市場委員会建設的対話促進ワーキング・グループ(銭谷美幸座長)をオンラインで開催した。JPモルガン・アセット・マネジメントの近江静子インベストメント・スチュワードシップ統括責任者/エグゼクティブ・ディレクターから、サステナブル投資やスチュワードシップ活動等に関する取り組みについて説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

■ JPモルガン・アセット・マネジメントの取り組み

近江氏

当社は、2007年に責任投資原則(PRI)の署名機関になるなど、サステナブル投資に関する取り組みを強化している。特徴的なのは、当社の伝統であるアクティブ運用部門がサステナビリティの重要性を認識し、主導してきたことである。ESG投資(環境・社会・ガバナンス対応を踏まえた投資)の一つの手法である「ESGインテグレーション」においては、自社で定める10の基準に則して、自社の投資がESG投資に適しているかどうかを判断し、評価している。450以上の運用戦略でESGインテグレーションを取り入れており、これは当社の運用資産の97%を占める。またESGインテグレーションに関わる人員は、今やグローバルでポートフォリオマネージャーが500名以上、アナリストが300名以上に上る。

スチュワードシップについては、五つの優先事項をグローバルで設定している。具体的には、(1)ガバナンス(2)長期戦略に基づいた企業経営(3)人的資本の管理(4)ステークホルダーとのエンゲージメント(5)気候変動リスク――である。これに基づいて中期的に対応するテーマを設定し、企業との対話を行っている。昨年1年間にESGに関する対話を行った企業の数は1300以上に上る。最近では、気候変動や人的資本に関する対話が増えている。

さらに、当社は、ESGに関する社内プラットフォームを保有している。運用やスチュワードシップ、リサーチやクオンツなど、さまざまな部門が提供する情報を企業ごとに一覧できる。例えば、プラットフォーム上では、企業ごとに運用担当者による調査レポートやESG評価、運用担当者およびスチュワードシップチームによるエンゲージメントレポート、ESGリサーチ部門が提供する定量的なESGスコアなどの情報を得ることができる。スチュワードシップ担当者もこうした情報を活用しながら企業との対話に臨み、建設的な議論を進めている。

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説明後、スチュワードシップ活動の秘訣や、ESGスコアリングと議決権行使との関係などについて、参加者との間で質疑応答がなされた。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】