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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年5月19日 No.3544 気候変動分野の最新動向 -TICAD8に向けて/サブサハラ地域委員会企画部会

長田氏

河村部会長

経団連は4月7日、サブサハラ地域委員会企画部会(河村肇部会長)をオンラインで開催した。経済産業省の長田稔秋産業技術環境局地球環境連携室長から、国際的な気候変動対応の枠組みや最新の状況、関連するビジネスチャンス等について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 国際的な気候変動対応の枠組み

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)は1992年に採択された。その目的は、温室効果ガスの排出によって引き起こされる気候変動がもたらす悪影響を防止することである。同条約の目的の達成に向けて、これまで京都議定書やパリ協定等の具体的な枠組みが進められてきた。

パリ協定は、2021年以降の枠組みであり、各国が温室効果ガス削減・抑制目標を国連に提出するとともに、専門家のレビューを受ける「プレッジ&レビュー」方式がとられている。また、すでに起こっている気候変動の影響に対応する「適応」について国家目標を策定することも、すべての国に求められている。さらに、日本が採用する二国間クレジット制度(JCM)の活用を含め、外国で削減した排出量を移転し、自国の削減目標に計上する市場メカニズムが導入されている。

■ 日本企業の力を活用し官民でビジネスを開拓

気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)において、岸田文雄内閣総理大臣は、25年までの5年間で気候変動の適応分野での支援を倍増し、官民合わせて約148億ドルとすることを表明した。国連環境計画(UNEP)が、50年時点で、途上国の適応に要する費用を約50兆円と推計するなど、適応には大きなビジネスチャンスがある。日本企業が自然災害に対するインフラ強靱化、食料・水の安定供給等の分野において貢献できるよう、経産省は、日本企業の有望な適応ビジネスの技術や実績の発信、官民参加によるウェビナーの開催等を通じて、具体的なビジネスプロジェクトの組成を目指している。

■ JCM等を推進しカーボンクレジットの活用拡大を

COP26において、パリ協定第6条(市場メカニズム)のルールが合意されたことは、JCMをはじめとするカーボンクレジットの活用において追い風となる。日本は11年から開発途上国とJCMに関して協議しており、現在、17カ国がパートナー国となっている。経産省としては、さらなるパートナー国の拡大や、プロジェクトの大型化等を通じて、クレジットの活用拡大を進めていきたい。

【国際協力本部】

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