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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年7月21日 No.3553 OECD諮問委員会2022年度総会を開催

経団連のOECD諮問委員会(稲垣精二委員長)は6月28日、2022年度総会を都内で開催した。2021年度事業報告・収支決算および2022年度事業計画・収支予算に関する報告等に先立ち、元経済協力開発機構(OECD)代表部大使・国連大使の吉川元偉国際基督教大学特別招聘教授が、「岐路に立つ多国間枠組みと日本のとるべき政策」と題して講演した。概要は次のとおり。

■ 国連安保理の構造的問題と国連の力

ロシアによるウクライナ侵略を受け、国際平和を守るはずの国連安全保障理事会(安保理)が機能不全に陥っているとの批判があるが、このような批判は今に始まったことではない。冷戦の直前と直後の短い期間には、安保理は機能していた。例えばイラクのクウェート侵攻に対して、安保理は多国籍軍の設立を承認し、クウェートの主権は回復した。しかし近年、シリア内戦ではロシアと中国の拒否権により安保理は行動を起こせず、2014年のロシアによるクリミア併合では、当事国ロシアの拒否権により安保理は何の手も打てなかった。国連憲章では、安保理5常任理事国(米国、英国、フランス、ロシア、中国)のみに拒否権が認められており、この5カ国が関与する紛争に、国連は対処できないという構造的な問題を有している。

他方、国連は普遍的国際機関として国際世論を示すことができる。22年3月に採択された「ウクライナに対する侵略」決議には、国連加盟国193カ国のうち141カ国が賛成した。ロシアの軍事行動が国連憲章違反であることに、国際世論は賛同しているが、実際にウクライナを支援し、ロシアに制裁を科している国の多くは、価値を共有する国々(like-minded countries)から成るEU、NATO、G7の加盟国である。

なお、国際社会全体がロシアを非難することに一致しているわけではない。日米欧とロシア・中国の間に挟まれ、立場の表明を嫌うアジア・アフリカ諸国は多い。中国の統治体制(専制主義、管理社会)、資金力、内政不干渉原則に魅力を感じている国も少なくない。

■ OECDの役割と日本の取るべき政策

OECDは、自由、民主主義、法の支配、人権保護という、共通の価値観を掲げ、志を同じくする共同体を形成している。国際的なルールづくり・スタンダード設定・アジェンダの先取りに能動的に参加できるが、加盟国は圧倒的に欧州諸国が多く、アジアの加盟国は日本と韓国のみである。

非西洋として稀有な立ち位置にある日本は、アジア諸国に対して、自由・民主主義・法の支配・人権を擁護する国になるための働きかけと、各種の支援策を並行して進める必要がある。懸念されるのは、日本と韓国の仲が良くないことである。日米豪印戦略対話(QUAD)に韓国も加えてはどうか。

マルチ外交のベースは二国間の強固な関係である。アジアの同志国を増やすためには、まず日本経済がしっかりし、日本自身が魅力ある国になることが必要である。

【国際経済本部】

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