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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年7月21日 No.3553 生活サービス産業の成長に向けた取り組み -生活サービス委員会

田中氏

経団連は6月30日、生活サービス委員会(高原豪久委員長、澤田道隆委員長、赤松憲委員長)を開催した。経済産業省の田中一成商務・サービス政策統括調整官から、生活サービス産業の成長に向けた政策の方向性や取り組み事例などを聴くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。

■ 産業政策の新機軸

2022年6月、経済産業省の経済産業政策新機軸部会は、「ミッション志向の産業政策」と「経済社会システムの基盤の組替え」の二つの柱を打ち出した。

「ミッション志向の産業政策」とは、解決すべき経済社会の課題について、官民で長期的なビジョンを共有し、さまざまな取り組みを行うことである。「経済社会システムの基盤の組替え」とは、経済成長・国際競争力の強化と包摂的成長を実現するため、人材を含めた基盤の組み替えを進めるものである。

生活サービス産業のさらなる成長を図るうえでのキーワードは、「共創」「個別化」である。さらに「無形資産の活用」も重要な視点であると考える。また、投資先を開拓し続ける資本主義システムのもとで、Web3.0の時代に突入し、メタバース等のデジタル空間に対する注目が一層高まっていくだろう。

■ DXの実現

ヘルスケア分野では、健康経営の推進に加えて、健診結果やライフログといった、個人の保健医療情報であるPHR(パーソナルヘルスレコード)を活かした新たなサービスを創出するため、団体の設立等をサポートしていく。また、教育分野では、産業界が求める人材像と学校教育の内容にミスマッチがあると指摘されている。その解消に向けて、一人一台端末のデジタル環境のもとに、EdTech(注1)やSTEAMライブラリー(注2)等の活用により、学びの「自律化・個別最適化」などを進めていく。

物流分野では、輸送の効率化を進め、ドライバー不足等による物流危機の回避に取り組む。具体的には、デジタル技術を活用することで倉庫や車両等の空き情報の「見える化」を図るとともに、複数企業の物流資産等をシェアしたネットワーク「フィジカルインターネット」により、業界の垣根を越えた「共創」を実現する。ITの活用によるさまざまな主体との「共創」は、生活サービス産業の生産性向上に大きく貢献する。

■ GX・SDGsの推進

デジタルトランスフォーメーション(DX)×グリーントランスフォーメーション(GX)・SDGsの取り組みとして、スーパー等での食品ロス削減の実証事業(ダイナミックプライシング、家庭内在庫の見える化など)に加え、ファッション分野においては、丈夫で長く使える製品を生産するインセンティブとなるよう、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン(注3))の活用等を進めている。また、バイオ分野では、いわゆる「バイオものづくり革命」が進行しており、生活サービスに関係する多くの商品が、サステイナブルで、かつ「個別化」されて、提供されるようになっている。これらの社会実装に取り組む。

■ 地域と海外をつなぐ取り組み

地場産品とデザイナーの協業あるいはアートの活用による地域文化資源の創造、クールジャパンによる日本食の海外展開など、地域と海外をつなぐ取り組みも支援していきたい。

(注1)Education(教育)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語。教育現場にデジタルテクノロジーを導入することで、教育領域に変革をもたらすサービス・取り組みの総称

(注2)経済産業省が開発した、探究型学習で活用可能な動画資料等のデジタルプラットフォーム

(注3)ブロックチェーン技術を利用して、デジタル資産・商品の所有者や取引履歴の管理を可能にするデジタルデータ

【産業政策本部】

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