経団連、経団連事業サービス主催、経営法曹会議協賛による「第122回経団連労働法フォーラム」を7月14、15の両日、オンラインで開催した。全国の企業・団体の人事・労務担当者、経営法曹会議所属の弁護士約300人が参加した。同フォーラムは、企業が対応を迫られる労働法上の課題について、経営法曹会議所属の弁護士が裁判例をもとに検討し、その対応策を提示するもの。同フォーラムの模様について、全3回にわたり報告する。第1回の今号では、フォーラムのアウトラインを示す。
1日目は、根本義尚弁護士が「メンタルヘルスをめぐる近年の諸課題とその対策」をテーマに報告。メンタルヘルスへの対応(セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントに起因するもの、長時間労働、新入社員や試用期間中)について紹介するとともに、メンタルヘルス不調者の復職可否の判断における基準や留意点、特に主治医からテレワークであれば復職が可能であるとされた場合の実務対応について解説した。
2日目は、五三智仁弁護士が「高齢者が活躍できる環境整備」をテーマに報告。70歳までの就業確保措置が努力義務化された改正高年齢者雇用安定法の概要について説明した後、(1)高年齢労働者の健康と安全を確保するために求められること(2)定年後再雇用時における賃金の減額や職種の変更、65歳前での雇い止めを行う場合の法的留意点――について、行政のガイドラインや裁判例をもとに検討した。加えて、70歳までの就業確保措置の取り組みとして、有期契約再雇用または創業支援等措置を選択する場合のポイントを述べた。
両日とも午後のプログラムでは、根本、五三両氏を含む10人の弁護士が、参加者から事前に寄せられた個別の質問に対する対応策について多角的に討議し、紛争回避に向けた解決策や好事例等を示した。
【労働法制本部】