経団連は10月25日、ロジスティクス委員会(内藤忠顕委員長、池田潤一郎委員長)をオンラインで開催した。国土交通省の鶴田浩久公共交通・物流政策審議官から、最新の物流政策について説明を聴いた。概要は次のとおり。
現代の物流は、荷主ニーズやIT技術の進歩等によって他の産業と一体となり、輸送・荷役・保管等といった従来の機能・サービス提供を超えて発展し続けている。例えば、物流事業者が付帯機能として提供している取引・決済代行などのサービスは、電子商取引市場を支えるものであり、国民生活や企業活動にとって欠かせないものとなった。
他方、物流を取り巻く環境に目を向けると、激甚化・頻発化する災害や、担い手不足への対応に加え、2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの推進等、さまざまな課題が山積している。
こうした状況を踏まえて、政府は21年6月に「総合物流施策大綱(2021~2025年度)」を閣議決定し、三つの目指すべき方向性を掲げて、その実現に向けた施策を推進している。具体的には次のとおり。
(1)物流デジタルトランスフォーメーション(DX)や物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化(サプライチェーン全体の自動化・機械化、パレット等の標準化の推進、物流・商流データ基盤の構築等)を通じて、簡素で滑らかな物流を実現する。
(2)労働力不足対策と物流構造改革の推進(働き方改革の推進、共同輸配送や貨客混載等による労働生産性の改善、物流の現状に関する広報活動の強化等)を通じて、担い手にやさしい物流を促す。
(3)強靱で持続可能な物流ネットワークの構築(重要物流道路の拡充、各輸送モード等の低炭素化・脱炭素化の促進等)を通じて、強くてしなやかな物流を構築する。
多岐にわたるこれらの施策には、それぞれKPIを設定し、進捗状況の「見える化」を図っている。進捗状況や外部環境を踏まえながら、着実に推進していく。
24年には、自動車運送事業における時間外労働規制の見直しが適用されることから、トラック運送業で大胆な改革が必要となる。他方で、これらの取り組みは効率性の高い物流に進化するチャンスでもある。荷主企業・物流企業・消費者の「三方よし」を合言葉に、物流におけるさまざまな課題の解決を図るため、荷主企業を含め、幅広い関係者の協力を今後ともお願いしたい。
【産業政策本部】