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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年2月9日 No.3578 「企業行動憲章シンポジウム2022」を開催 -サステイナブルな資本主義への転換を加速化する企業経営

パネルディスカッション

経団連は、「企業行動憲章」の趣旨の理解浸透を目的に「企業行動憲章シンポジウム」を毎年度開催している。6回目となる2022年度は、1月19日、東京・大手町の経団連会館で、「企業行動憲章 実行の手引き」(手引き)を22年12月に改訂12月15日号掲載)したことを受けて、「サステイナブルな資本主義への転換を加速化する企業経営」をテーマに、対面とオンライン配信のハイブリッド形式で開催した。

冒頭の開会・基調講演において、冨田哲郎審議員会議長は、改訂した手引きの今日的意義にあたる「序文」について説明した。あわせて、東日本旅客鉄道におけるサステナビリティ経営の取り組みを紹介。(1)働き手の生産性向上(2)デジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーントランスフォーメーション(GX)を軸とした国内投資の拡大(3)物価と賃金の好循環――を通じて、力強い日本経済の復活による成長、その結果としての分配、消費の拡大というサイクルの実現こそ、サステイナブルな資本主義の根幹であると述べた。

続いて登壇した西澤敬二審議員会副議長(企業行動・SDGs委員長)は、手引きの改訂のポイントについて説明し、その背景である「企業を取り巻く環境」、同委員長が22年度に対談した国連機関トップの発言にも触れた。経団連会員企業がSociety 5.0 for SDGsの取り組みを推進し、経済・社会システムのトランスフォーメーションを牽引していくことについて、世界から高い期待が寄せられていると述べた。

冨田審議員会議長

西澤審議員会副議長

■ Earth for All~万人のための地球に向けた社会変革

報告書「Earth for All」を公表したローマクラブのサンドリン・ディクソン=デクレーブ共同会長は、社会・経済指標と環境指標を両立したウェルビーイング経済の実現に向けて、貧困、不平等、エンパワーメント、食、エネルギーの五つの劇的な方向転換が求められていると指摘。経済界が万人のための新しい地球を構成する一部として、共に前進することを願っていると述べた。

続いて、同書を監訳した地球環境戦略研究機関の武内和彦理事長が講演した。地球の限界(プラネタリーバウンダリー)と人々の福利の向上(ソーシャルバウンダリー)の間に挟まるドーナツ状の範囲内で、成長と人類のウェルビーイングの最大化を目指すべきと述べた。さらに企業は自社の商品だけでなく、その原材料の調達も含めたシステム全体の持続可能性を評価し、あるべき方向への変革をリードしていくことが重要であると強調した。

サンドリン・ディクソン=デクレーブ氏

武内氏

■ パネルディスカッション

三井物産、ヴェオリア・ジャパン、積水化学工業の3社が登壇し、サステイナブルな資本主義の実現に向けた取り組みについてそれぞれ紹介した。登壇者の発言要旨は次のとおり。

(安永竜夫三井物産会長)

安永氏

20年の経営理念の改定・作成に際しては、グローバルなチームを組み、英語で議論を進めた。改定後、三井物産の世界共通の価値観や存在価値について、海外を含めた当社グループ全体にあらためて浸透を図った。また、競争力の源泉である社員が、オーナーシップを持って新しい挑戦ができるよう、グローバルで多様なプロ人材育成プログラムを展開している。世界に広がるネットワークをつなぎ合わせて産業横断的な事業を展開し、競争力と経済合理性を考えながら、常に現実解を求め、実践していくことがわれわれの使命である。

(野田由美子ヴェオリア・ジャパン会長)

野田氏

当社は「SDGsの達成に全力で取り組み、より良くより持続可能な未来を実現して、人類の進歩に貢献する」をパーパスとして掲げている。地球環境、顧客、株主、従業員、社会を「ステークホルダー」と位置付け、すべてのステークホルダーの成長と発展に役立つ存在となることを目指している。パーパスを中心に据えた意思決定と目標管理のため、各々に関わる合計18のKPIを設け、水・廃棄物・エネルギー分野での事業活動を通じて価値を提供する。

(上脇太積水化学工業専務執行役員)

上脇氏

イノベーションを生み続けるために、(1)加工の力(2)先取り変革(3)人材――の三つのケーパビリティ(組織能力)を大切にしており、その仕組みとして、外部アドバイザリーが社会課題の解決に資する製品を認定する「サステナビリティ貢献製品制度」を設けている。同制度では、基準の高さと登録の透明性を担保しており、従業員の技術力の向上や広い視野を得ることにもつながっている。

【SDGs本部】

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