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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年2月9日 No.3578 第126回経団連労使フォーラムを開催 -テーマは「『人への投資』を通じた働き手と企業の成長を実現する経営戦略」

経団連と経団連事業サービス(十倉雅和会長)は1月24日、東京・大手町の経団連会館で「第126回経団連労使フォーラム」を開催した。同フォーラムは、企業の経営者、人事労務担当者らが春季労使交渉・協議のポイントや人事労務管理上の課題などに関する情報・認識を共有する場として、毎年1月に開催している。2023年は3年ぶりに会場参加を再開し、オンラインとあわせて約280人が出席した。

開会にあたりあいさつした十倉会長は、1月17日に公表した「2023年版経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)のポイントとして、円滑な労働移動と物価動向を重視した賃金引き上げの2点に言及。賃金引き上げについて、23年の春季労使交渉は「賃金と物価の好循環」の実現に向けた正念場かつ絶好の機会だと述べ、「賃金決定の大原則」に則ったうえで、企業の社会的責務として、物価動向を特に重視した検討と賃金引き上げのモメンタムの維持・強化に向けた積極的な対応を呼びかけた。

続いて、「2023年 日本経済の行方」と題して大和証券金融市場調査部チーフマーケットエコノミストの岩下真理氏が講演した。岩下氏は、世界経済ならびに日本経済の動向についてさまざまな指標を用いて説明し、「日本経済は世界のなかでも比較的底堅い成長を続けており、23年度も緩やかな景気回復が継続すると見込まれる」と説明した。

他方で、海外、特に米国と中国の景気の急減速やインフレの長期化、新型コロナウイルスの影響がリスク要因だと指摘。さらに、「23年の春季労使交渉で賃金引き上げが進まなければ、国民の節約志向が強まり、消費抑制に働くことが懸念される」と述べ、ベースアップによる賃金上昇を安定的に持続させることが「物価と賃金の好循環」実現への道筋となると、賃金上昇への期待感を示した。

その後、産別労組から安河内賢弘JAM会長、松浦昭彦UAゼンセン会長、神保政史電機連合中央執行委員長が、23年の労使交渉に臨む各労働組合の考え方をそれぞれ説明した。

経労委報告についての解説の後、大橋徹二副会長・経営労働政策特別委員長(コマツ会長)、平野信行副会長(三菱UFJ銀行特別顧問)、田中研之輔法政大学教授の3氏が「エンゲージメントと労働生産性の向上に資する人材の活躍推進」をテーマに鼎談した。過去30年間の日本経済の歩みや日本企業・経済界の取り組みを振り返った後、エンゲージメントや労働生産性向上をさらに進めるための課題や今後の労使関係などについて、コマツ、三菱UFJ銀行の取り組みを紹介しつつ討議した。

最後に、連合の芳野友子会長が講演した。芳野会長は、連合の「2023春季生活闘争」を通じて、第1に賃上げをはじめとする「人への投資」の増強で生産性を引き上げ、「成長と分配の好循環」を持続的・安定的に実現すること、第2にGDP、賃金、物価がともに安定的に上昇する経済へとステージを転換し、望ましい未来をつくることを目指すと表明した。また、「政労使が中長期的・マクロ的な視点から問題意識を共有し、一定の方向感を社会に発信することが重要だ」と述べた。

【経団連事業サービス】

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