Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年2月23日 No.3580  ヘルスケアに関する法制度、環境整備のあり方 -イノベーション委員会

左から安川委員長、国光政務官、田中委員長

経団連は1月31日、東京・大手町の経団連会館でイノベーション委員会(安川健司委員長、田中孝司委員長)を開催した。国光あやの総務大臣政務官・衆議院議員が、「国民のために政策を動かす。医療・ヘルスケアを、安心と成長のエンジンに!」と題して講演した。概要は次のとおり。

■ 改革のチャンス

2024年4月に、診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬が同時に改定される。このトリプル同時改定は6年に1度の機会であるため、役所も気合が入っている。また、医療計画の改定も同月に予定されており、要望があれば自治体に意見を寄せてほしい。このような事情から、23年が改革のチャンスである。

企業から課題解決のために制度改革を求めることがあると思うが、その際には、相手の理解レベルに合わせて説明すること、日本の成長・財政健全化という2点を絡めつつ結論ファーストでわかりやすい資料を用いること、適切なタイミングを計ることが重要である。

■ ヘルスケア成長戦略

日本のこれからの発展にはヘルスケア領域におけるイノベーションを促進する必要がある一方、財源には制約がある。そのため、ヘルスケアの成長戦略では保険外のマーケットを拡大させることが重要であり、第三者認証と民間保険の活用がカギとなる。

■ 自民党の取り組み

自民党は、デジタルヘルスと医療デジタルトランスフォーメーション(DX)に関する「デジタルヘルス新成長戦略勉強会」において、22年、木原誠二官房副長官を中心に提言を取りまとめた。

デジタルヘルス・プログラム医療機器(SaMD)や医療DXなどのDXヘルスケア領域市場の年成長率は、約15%と非常に高い。そのため、この市場をより発展させるべく、提言では、(1)SaMDなどのデジタルヘルスケア製品について、第三者機関による品質認証制度の推進(2)国際展開支援(3)製品の早期承認のための薬事・保険制度改革(4)医療DXの促進(5)データの利活用促進――を盛り込んだ。

提言内容は早くも実現しつつあり、SaMDの特性に合わせた保険制度や承認制度について取り組みが進んでいる。

■ ヘルスケアデータの利活用に向けて

政府では、岸田文雄内閣総理大臣を本部長とする「医療DX推進本部」のもと、電子カルテ情報の標準化、全国医療情報プラットフォームの創設、診療報酬改定DXなどについて検討している。

また、次世代医療基盤法の改正により、対象となるデータに仮名加工医療情報が含まれることとなる。これにより薬事承認のための申請において、当該データを用いることが可能となる。これまで、ヘルスケアデータの利活用にあたって非常に使い勝手が悪いとの指摘が各所から上がっていたので、法改正により状況が改善されたのかどうか、ぜひ意見を寄せてほしい。

このほか、国際展開の強化を図るべく、産学官の医療連携体制であるMedical Excellence JAPANがベトナム、インドネシアなどで行っているネットワークづくりを支援している。

【産業技術本部】