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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年2月23日 No.3580 グリーン連携ガイドライン案について公正取引委員会と意見交換 -経済法規委員会競争法部会

鈴木氏(右)、五十嵐氏

経団連は1月30日、経済法規委員会競争法部会(大野顕司部会長)を開催した。公正取引委員会経済取引局企業結合課・調整課の鈴木健太上席企業結合調査官および同調整課の五十嵐收課長補佐から、「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」(案)(ガイドライン案)について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ ガイドライン案の検討経緯

2021年10月に閣議決定された「地球温暖化対策計画」において、50年のカーボンニュートラル実現、30年度に温室効果ガスの13年度比46%削減という目標が設定されている。これらの目標の達成に向け、競争制限的な行為を未然に防止するとともに、法適用・執行にかかる透明性および事業者等の予見可能性を一層向上させることで、事業者の取り組みを後押しする観点から、ガイドラインを策定することとした。ガイドライン案の内容は、公正取引委員会で22年10~12月に開催された「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関するガイドライン検討会」での議論の内容を踏まえたものである。

■ ガイドライン案の基本的な考え方および構成

グリーン社会の実現に向けた事業者等の取り組みの大半は、新たな技術や優れた商品を生み出す等の競争促進効果を持つものであり、基本的に独占禁止法上問題とならない場合が多い。一方、取り組みが価格・数量、技術等を制限し、事業者間の公正かつ自由な競争を制限する効果のみを持つ場合、名目上はグリーン社会の実現に向けた取り組みであったとしても、独禁法上問題となる。また、競争制限効果と競争促進効果の双方が見込まれる場合、取り組みの目的の合理性および手段の相当性(より制限的でない他の代替手段があるか等)を勘案しつつ、両効果を総合的に考慮して判断される。

これらの基本的考え方を踏まえつつ、ガイドライン案では、(1)共同の取り組み(2)取引先事業者の事業活動に対する制限・取引先の選択にかかる行為(3)優越的地位の濫用行為(4)企業結合(5)公正取引委員会への相談――について、独禁法上問題とならない事例・問題となる事例および考え方を示している。

■ 共同の取り組み

共同の取り組みでは、業界として行う啓発活動や法令上の義務の遵守対応、価格等の重要な競争手段である事項を対象としない情報交換は、基本的に独禁法上問題とならない。他方、技術開発の制限や、それぞれ独自に判断することなく、相互に連絡を取り合い、時期や対象を決定するかたちでの生産設備の共同廃棄については、独禁法上問題となる。もっとも、共同廃棄について、需要者ニーズ等を鑑み、各事業者独自の判断で生産設備の廃棄時期等が決定され、暗黙の了解または共通の意思が形成されることなく決定内容が類似のものとなること自体は、独禁法上問題となるものではない。

この他、共同購入や技術連携、共同生産、データ共有などについてもガイドライン案で考え方を示している。

■ 事前相談

相談については、事業者がグリーンの取り組みを進めるうえで、非常に重要だと考えている。今後、専門の窓口を置き、事前相談制度による相談および一般相談への対応の充実を図ることとしている。積極的な活用をお願いしたい。

【経済基盤本部】

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