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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年4月6日 No.3586 公正取引委員会幹部と意見交換 -経済法規委員会

古谷氏

経団連は3月13日、東京・大手町の経団連会館で経済法規委員会(平野信行委員長)を開催した。公正取引委員会の古谷一之委員長、小林渉事務総長、田中久美子官房審議官(国際担当)、藤本哲也経済取引局長、塚田益徳官房審議官(企業結合担当)、品川武取引部長ら幹部が出席し、「『転嫁円滑化施策パッケージ』に基づく公正取引委員会の取り組み」「経済社会の変化に対応した競争環境整備のための活動の状況」「国際的な競争政策の潮流と公正取引委員会の取り組み~2023年の動向」について、説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 「転嫁円滑化施策パッケージ」に基づく公取委の取り組み

21年12月に関係省庁と共に取りまとめた転嫁円滑化施策パッケージを踏まえ、公取委は、(1)価格転嫁円滑化スキームの創設(2)独占禁止法の執行強化(3)下請法の執行強化――の3点に取り組んできた。価格転嫁円滑化スキームでは、関係省庁からの情報提供や要請、下請事業者からの情報提供を受け付けるとともに、重点立入業種を定めて重点的な立入調査を実施するなどした。独禁法の執行強化では、優越的地位の濫用に関する緊急調査を実施し、独禁法Q&Aの内容を踏まえ、問題につながるおそれのある行為が認められた4000超の発注者に対し、注意喚起文書を送付した。加えて、多数の受注者に対して協議することなく価格を据え置く行為が確認された13事業者の事業者名を公表した。今後、さらに規模を拡大した調査を予定している。当該調査では労務費に関する対応を強化するとともに、緊急調査において注意喚起文書の送付や事業者名公表を行った事業者に関するフォローアップを行う予定である。

■ 経済社会の変化に対応した競争環境整備のための活動の状況

グリーントランスフォーメーション(GX)は国策として大きな課題となるという認識のもと、公取委は、グリーン社会の実現に向けた取り組みの検討を進めてきた。GXについては、競争を通じて資源の効率的な活用や、新技術等のイノベーションが促進されることから、国の施策として、競争政策も補完的な役割を担っている。

グリーン社会の実現に向けた取り組みにかかるガイドライン案では、諸外国のガイドラインが共同行為・カルテルの記述にとどまっていることが多いのに対し、(1)共同の取り組み(2)取引先事業者の事業活動に対する制限・取引先の選択にかかる行為(3)優越的地位の濫用行為(4)企業結合――について、独禁法上問題とならない事例・問題となる事例および考え方を示している。さらに、(5)公取委への相談についても説明を記載している。

また、携帯電話端末の廉価販売に関する緊急実態調査やフィンテックを活用したサービスに関するフォローアップ調査を実施するとともに、モバイルOS等に関する実態調査報告書を公表するといった活動も行っている。

■ 国際的な競争政策の潮流と公取委の取り組み~23年の動向

米国では、合併ガイドラインの改正作業や不公正な競争方法に関する解釈の見直し、EUでは、デジタル市場法や水平ガイドラインの改正作業などが進められている。

また23年は日本がG7の議長国であり、秋ごろ、公取委によるG7競争当局等サミットを東京で開催する予定である。加えて、サイドイベントとして、国際シンポジウムの開催も検討中である。

【経済基盤本部】

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