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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年4月20日 No.3588 EECの開発に関する懇談会を開催 -日タイ貿易経済委員会

チュラ・スックマーノップ氏

ソムブン・サハシッティワット氏

経団連の日タイ貿易経済委員会(鈴木善久委員長、鈴木純委員長)は3月23日、東京・大手町の経団連会館で「東部経済回廊(EEC)の開発に関する懇談会」を開催した。チュラ・スックマーノップEEC事務局長およびタイ国立科学技術開発庁(NSTDA)のソムブン・サハシッティワット長官補佐から、EECの現状と展望等について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ ターゲット産業と投資奨励ゾーンを支援~日タイパートナーシップの強化に期待

タイ政府は、労働集約型産業から知識集約型産業への移行を通じて、産業の高度化・高付加価値化を実現する「タイランド4.0」を推進している。その中心的なプロジェクトが、バンコク東部3県(チョンブリー、ラヨーン、チャチェンサオ)で大規模なインフラ基盤整備と先端産業誘致を目指すEECである。

EECでは、高速鉄道の建設、国際空港や港の拡張など交通・物流インフラの開発に取り組んでおり、2026年から27年に順次サービスの開始を目指している。また、26カ所の工業団地と二つの産業クラスターにおいて、次世代自動車、スマートエレクトロニクスなど12のターゲット産業を支援する。加えて、「EECg」「EECd」「EECmd」「EECh」「EECi」「EECtp」「EECa」の七つの投資奨励ゾーンを設け、研究開発やエコシステム構築等を実施する予定である。

日本はEECへの最大の投資国である。22年11月に両国の外務大臣が署名した「日タイ戦略的経済連携5か年計画」にはEECに関する共同行動計画が盛り込まれており、同共同計画に基づき、協力関係のさらなる強化が期待される。

■ EECiにおいてフロンティア産業を振興

EECiはラヨーン県ワンチャンバレーに位置し、イノベーション特区として、NSTDA主導のもと、先端農業、バイオテクノロジー、バッテリー、ロボティクス等、重点分野におけるフロンティア産業の振興を図る。

タイ政府は、「BCG(バイオ、サーキュラー、グリーン)経済」国家戦略モデルを掲げ、タイの強みである豊富な農業資源を活用しながら、産業の高度化および環境にやさしい社会の実現を目指している。EECiでは、先端技術を活用した植物の品種改良、バイオリファイナリーによる農業資源の高付加価値化、ドローンやセンサーを利用した農業のスマート化などに取り組んでいる。

22年にはEECiの第1フェーズが完了し、ロボティクス・AIに関する人材育成やテストベッド等を提供する「持続可能な生産イノベーションセンター(SMC)」、画像解析やデジタル技術により植物の性能を評価できる「スマートグリーンハウス」が完成した。今後は、30年までに、各施設を順次開業していく計画である。

【国際協力本部】

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