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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年4月20日 No.3588 「グローバルな視点から見た日本企業の課題検討セミナー」を開催 -デッラジョヴァンナ日立製作所執行役常務と次原ダイバーシティ推進委員長が対談/組織風土改革に向けて

経団連は3月22日、「グローバルな視点から見た日本企業の課題検討セミナー」をオンラインで開催した。外国人材のさらなる活躍に向け、日本企業の組織風土の課題を検討すべく、日立製作所のロレーナ・デッラジョヴァンナ執行役常務(当時)と経団連の次原悦子ダイバーシティ推進委員長が対談した。約140人が参加した。概要は次のとおり。

デッラジョヴァンナ氏(右)と次原委員長

■ レジリエントな国民性を能動的に活用し、イノベーションへ

2020年に、それまで勤務してきたイタリアや英国を離れ、日本での執務を開始した。日本企業や社会に対する最初の印象は、秩序立っていて効率的であるということだ。他にも、組織力が強いことや相手やルールを尊重する姿勢など、学ぶべきものが多くある。一方、現在のような社会が急速に変化していく時代においては、既存のルールやプロセスを重視するあまり、変化にタイムリーに対応できず、イノベーションの芽を摘んでしまうこともある。そこで、単に自分の仕事にフォーカスするのではなく、各人が自分自身の分野の枠を超えて、多少のリスクを取って挑戦することを提案したい。時には失敗を受け入れることも重要である。失敗することによって学ぶことができる。

日本人の素晴らしい点は、危機的な状況から回復する能力が非常に高いことである。この能力を、イノベーションを起こすために能動的に使ってはどうか。変革の機会が来るのを待つのではなく、リスクを取りながら能動的に変革を起こすことができれば、日本経済の大きな成長につながると思う。

■ 多様性の力を活かすための環境づくりが重要

日立に在籍する約37万人の従業員全員の意見をうまく活用できれば、イノベーションは起こる。そのため、従業員がリスクを取ることができ、かつ誰しもが心理的安全性を確保したうえで発言できるような環境の整備を進めている。

最も重要なのは全員に等しく機会を提供することである。そのために、エクイティ(公正性)の担保について、22年度からこれまで以上に重きを置いて活動している。人材の多様性を確保するだけでは何も変わらない。個々人の違いを尊重し、それぞれのニーズにあったリソースを与えることで同じ機会を提供し、すべての人がポテンシャルを発揮できるような仕組みをつくらなければならない。こうしたプロセスの構築と同時に、マインドセットと行動様式の変更にも取り組んでいる。

■ 毎日自問自答し、傾聴を

日本においてダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)推進を妨げている原因の一つにアンコンシャスバイアスが挙げられる。アンコンシャスバイアスをすべて取り除くことはできない。大切なのは、自分は果たしてすべての人たちに公正に接しているかどうかを毎日意識し、自問自答し続けることである。

また、できるだけ多様な人たちに囲まれる環境に身を置き、相手の声に耳を傾け、異なる視点を理解することができれば、その人がなぜその選択をしたのかがみえてくる。相手を理解すると同時に、自分が発信した内容を相手が正しく受け取り、理解しているか確認することも重要である。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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