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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年5月25日 No.3591 エステベス米商務次官と懇談

エステベス氏

経団連の通商政策委員会企画部会(神戸司郎部会長)とアメリカ委員会連携強化部会(豊川由里亜部会長)は4月21日、東京・大手町の経団連会館で、アラン・エステベス米国商務次官(産業安全保障担当)との懇談会を開催した。エステベス次官の発言概要は次のとおり。

米国の輸出管理の目的は、集団的安全保障にある。例えば、ロシアによるウクライナ侵略を受けて、米国は日本を含む36カ国と共に対ロシア制裁を実施している。厳しい輸出管理を通じて、ロシアは調達が困難になり、国内における兵器の生産能力が縮小している。輸出管理だけでは戦争を終わらせることはできないが、確実にロシア軍に影響を与え、戦争のエスカレートを防いでいる。

2022年10月に打ち出した、最先端の半導体に的を絞った輸出管理のねらいも同様に、国家安全保障にある。例えば中国は軍民融合政策を採っており、われわれが輸出する半導体が汎用品(デュアルユース品)や軍用品に使用される可能性がある。米国や日本、欧州の同盟国の技術が兵器に転用されることがあってはならない。かかる観点から、兵器の生産に転用されるおそれのある技術には規制をかけることが重要である。

将来的に重要になる先端技術という観点からは、例えば量子コンピューターなどについて有志国と協議を重ね、懸念される技術やチョークポイントとなる部分を特定し、適切な輸出管理のあり方を検討する必要があると考えている。

米国の輸出管理規制の意図は、他国の経済成長を止めることではなく、国家安全保障である。他国が抱えるリスクを把握し、われわれの技術が悪用されることのないよう備えなければならない。こうした輸出管理の実施にあたっては、ビジネスへも大きな影響を与えることは承知している。引き続き経済界と意見交換を重ね、フィードバックも得ながら効果的な規制の実施に努めたい。

【国際経済本部】

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