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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年5月25日 No.3591 食料・農業・農村基本法の検証・見直しの検討状況 -農業活性化委員会

経団連は4月24日、東京・大手町の経団連会館で農業活性化委員会(佐藤康博委員長、磯崎功典委員長)を開催した。

政府は、世界的な食料情勢の変化等に対応するため、農政の基本理念や政策の方向性を示した「食料・農業・農村基本法」の検証を進めている。その見直しの検討状況について、農林水産省の横山紳事務次官、渡邊毅官房長および杉中淳大臣官房総括審議官から説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 食料の安定供給の確保

国際的に食料安全保障は、「すべての人が、いかなる時にも、活動的で健康的な生活に必要な食生活上のニーズと嗜好を満たすために、十分で安全かつ栄養ある食料を、物理的にも社会的にも経済的にも入手可能であるときに達成される」ものと定義されている。これを踏まえ、食料の安定供給の確保に向けて、平時から食料安全保障の達成を目指すため、食品産業の持続的な発展、輸出政策、輸入政策、備蓄政策などについて今後の施策の方向を検討している。

とりわけ、食品産業の持続的な発展には、原材料の調達先の多角化や国産原材料の利用促進、生産性の向上等が必要である。加えて、持続可能な食料供給の実現に資するバイオテクノロジーやデジタル技術等の新しい技術の活用も不可欠である。

また、国内農業および食品産業の生産を維持・強化するには、輸出が不可欠である。国内の輸出産地の形成に加え、食品安全等にかかる規制対応のための施設整備や人材育成を通じて、農産物や食品の供給力を向上させることが必要である。

■ 農業の持続的な発展

農業の持続的な発展のためには、人口減少下においても生産力を維持できる農業経営の実践が不可欠である。引き続き、離農する者の農地の受け皿となる経営体や、付加価値向上を目指す意欲のある経営体を育成・確保していくことが必要である。

具体的には、農業法人の経営基盤の強化や農地の有効利用のための農地の集積・集約に加え、スマート農業はじめ技術の開発・普及に向けて、情報通信基盤や人材育成、規格策定等の環境整備を推進していく。こうした取り組みを通じ、生産から流通、販売におけるイノベーションを効果的かつ効率的に推進し、生産性の向上を図っていく。

■ 持続可能な農業への転換

気候変動や海外の環境規制に対応しつつ、将来にわたって安定的・持続的に食料を供給できるよう、環境負荷の低減を図る持続可能な農業・食品産業への転換が必要である。

そのため、「みどりの食料システム法」に基づいた取り組みを基本としつつ、生産・加工・流通・販売のフードチェーン全体で環境と調和のとれた食料システムの確立を進めることが求められる。

【産業政策本部】

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