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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年5月25日 No.3591 バンバール&ベリス法律事務所とEUおよび英国競争法セミナーを開催

ベリス氏

経団連は4月24日、東京・大手町の経団連会館で、バンバール・アンド・ベリス法律事務所とEUおよび英国競争法に関するセミナーを共催した。同法律事務所はベルギー・ブリュッセルと英国・ロンドンに拠点を置き、競争法の分野で多くの実績がある。

同法律事務所の創設パートナー弁護士のジョン・フランソワ・ベリス氏のあいさつに続き、クリス・バン・ホフ氏、アレックス・ストラタキス氏、シャーロッテ・ナソーニュ氏の3人の弁護士が、それぞれ「外国補助金を規制する新しい法的枠組み」「欧州での流通に影響する近時の変化」「競合他社との協力に影響を与える最近のEU提案」について説明し、参加者との間で意見交換した。説明の概要は次のとおり。

左からストラタキス氏、ホフ氏、ベリス氏、ナソーニュ氏

■ 外国補助金を規制する新しい法的枠組み

EUの外国補助金に関する新しい規則が、2023年7月に施行される。欧州委員会は、EU加盟国から企業への補助金に加えて、非EU加盟国からの補助金を新たに規制の対象とすることで、EU企業と外国企業の公平な競争条件の確保を目指している。規制の対象は広く、一定の事業規模を有する企業がM&A(合併・買収)や公共調達を行う場合、対象となる外国補助金を把握し、23年10月から届出する義務が課される。

外国補助金に関する規則が厳しく執行されれば、欧州委員会の調査などにより、企業に対して多大な負担が生じる。企業としては、外国補助金にかかる制度を周知し、データ収集の仕組みをつくることが重要である。また、外国補助金の規則を意識して、内部文書を準備することが必要になる。

■ 欧州での流通に影響する近時の変化

欧州における流通に関する規則について、EUと英国では、22年6月から垂直的制限に関する新しい規則やガイドラインが施行されている。垂直的制限とは、メーカーなどの供給者と販売店の間で競争を制限することである。新しい規則では、再販売価格の制限、二重流通、排他的流通、オンライン販売の取り扱いなどについて改正された。

欧州委員会と英国の競争・市場庁(CMA)はいずれも、競争当局として垂直的制限に関する規則を改正する必要があると認識した。EUと英国の規則について、いずれが厳格であるかという点ではあまり違いがない。

■ 競合他社との協力に影響を与える最近のEU提案

EUは22年3月、事業者間の水平協力協定に関する規則などの改正案についてパブリック・コメントを募集し、水平ガイドラインの改正案ではサステナビリティー協定に関する新しい章が追加されている。23年6月末に水平協力協定に関する新しい規則が施行される予定であり、これは事業者間など競合他社との協力に影響を与えるものである。

サステナビリティー協定は、競争政策とグリーンの問題をどのように調和させるかという点から、重要かつ最新のトピックである。欧州委員会はサステナビリティー協定について一般的な声明しか発表しておらず、まだ実務や実例が積み重なっていない。

欧州委員会は、サステナビリティー協定について、市場における消費者の補償を重視しており、かなり保守的なアプローチをとっている。一方、EU加盟国のレベルでは欧州委員会よりリベラルなアプローチをとっている国もある。今後、各国の当局が欧州委員会と異なったアプローチをとることを躊躇するかもしれない。企業としては、サステナビリティー協定に関するEUの最終的な決定が待ち望まれる。

【経済基盤本部】

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