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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年6月1日 No.3592 ICGNとの懇談会を開催

経団連の日比野隆司審議員会副議長/金融・資本市場委員長は5月8日、東京・大手町の経団連会館で、来日中のICGN(International Corporate Governance Network)のケリー・ワリングCEO、ダン・コニグスブルグ理事、川添誠司理事らと懇談した。概要は次のとおり。

まず、日比野副議長は、「金融庁が検討を進めるコーポレートガバナンス改革の実効性向上の方向性は、経団連のこれまでの主張と合致している」と強調。最近の経団連の取り組みとして、2022年11月に実施した英国ハイレベル・ミッションの所感と、23年4月の金融庁の「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」に経団連が提出した意見を紹介した。

ワリングCEOは、日本におけるガバナンス改革の現状に関する所感として、「コーポレートガバナンスは形式より実質が大事である。今はコードを改訂するタイミングではなく、コーポレートガバナンスの実践に関する理解を深めるタイミングである」と指摘。(1)サステナビリティーの達成にもコーポレートガバナンスの基本が重要であること(2)人的資本経営のフレームワークづくりを日本がリードしてほしいこと(3)グローバルレベルでのサステナビリティー情報に関する保証が重要であること――等を説明した。企業に対しては、定時株主総会前の有価証券報告書の提出等での情報開示の充実を求めた。また、スチュワードシップ活動の充実に向け、ICGNの会員である投資家に対して、リソースの充実やガバナンス強化を求めていると述べた。

続けて、コニグスブルグ理事は、23年9月に予定されるOECDコーポレートガバナンス・コード原則の改訂のポイントを紹介。改訂では、気候変動に関する新章が追加されるほか、企業グループの扱いや取締役会の役割が追記されると説明した。あわせて、スチュワードシップ・コードの充実や議決権行使助言会社の利益相反、助言の手法についての開示の充実等も盛り込まれる見込みであると示した。さらに、川添理事は、気候変動対策に関する投資家主導の世界的な協働イニシアティブであるClimate Action 100+について、企業が経営計画に取り込んで実効性を高めていく段階であると述べた。

懇談で、日比野副議長は、「法体系、雇用慣行、商慣習、社会文化、経済行動が異なる日本に、欧米の制度を前提としたコードを性急に導入しようとしたことが課題を生んでいる」と指摘。具体的な項目として、取締役会の過半数以上を独立社外取締役とする要請、総会前の有価証券報告書の提出に関する要請を挙げ、実務面での懸念を表明した。

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経団連では今後も企業と投資家との対話の深化に向けた働きかけや、コーポレートガバナンス改革の実質化に向けた取り組みを進めていく。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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