経団連は6月8日、金融・資本市場委員会企業会計部会(佐々木啓吾部会長)を開催し、企業会計基準委員会(ASBJ)の川西安喜委員長と紙谷孝雄副委員長から、5月に公表された公開草案「リースに関する会計基準(案)」等(新リース会計基準案)の概要について、説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。
■ 公開草案公表の経緯
国際会計基準審議会(IASB)によるIFRS第16号「リース」の公表(2016年1月)、および、米国財務会計基準審議会(FASB)によるTopic 842「リース」の公表(16年2月)を受け、ASBJでは、関連するわが国の会計基準の開発について国際的な調和を図る観点から検討を重ね、5月2日に新リース会計基準案を公表した(コメント期日は8月4日まで)。
■ 開発にあたっての基本的な方針
新リース会計基準案では、借手リース取引については、IFRS第16号と同様に、原則として、使用権資産にかかる減価償却費およびリース負債にかかる金利費用を別個に認識する単一の会計処理モデルを採用することとした。
また、IFRSを任意適用して連結財務諸表を作成する企業が、IFRS第16号の定めを個別財務諸表に適用しても、基本的に修正を不要とした。
そのうえで、国際的な比較可能性を大きく棄損しない範囲内で、代替的な取り扱いや経過措置を定めるなど、実務面にも配慮した。
なお、貸手リース取引については、「収益認識会計基準との整合性確保を図るための項目」や「リースの定義およびリースの識別」を除き、基本的に現行基準の定めを維持することとした。
■ 開示
借手の表示については、IFRS第16号と整合的なものとした。一方、貸手の表示については、基本的に現行基準の定めを踏襲した。
■ 適用時期等
原則的な適用時期については「公表から2年程度経過した日以降開始する連結会計年度および事業年度の期首から」、早期適用については「原則的な適用時期の1年前から」を提案した。今回の原則的な適用時期は、準備期間をより長く確保できるよう、通常の会計基準改正時よりも1年長く設定した。
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意見交換では、同基準改正が税制に与える影響、適用時期等に関して意見・コメントがあった。
【経済基盤本部】