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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年7月13日 No.3598 国土強靱化の推進 -内閣官房国土強靱化推進室と意見交換/危機管理・社会基盤強化委員会企画部会

堂薗氏

経団連は6月14日、東京・大手町の経団連会館で危機管理・社会基盤強化委員会企画部会(工藤成生部会長)を開催した。堂薗俊多内閣官房国土強靱化推進室参事官から、国土強靱化に関するこれまでの取り組みや、2023年夏をめどとして政府が進めている国土強靱化基本計画(基本計画)の改定について、説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 国土強靱化に関する取り組みの効果

近年、自然災害が頻発しているが、被害は抑えられている。例えば、22年の台風14号では、全国の河川で河道掘削等の事前対策を進めていたことに加え、ダムの事前放流を実施した結果、堤防の決壊等による大規模な浸水被害の発生を防止することができた。また、主要幹線道路で被災通行止めが発生したものの、法面・盛土対策を完了していた道路では被災通行止めはなかった。これらは、堤防整備や河道掘削等の防災対策を進めてきた成果である。その一方、氾濫寸前まで水位が上昇した河川が80を超えたことや、法面・盛土対策が必要な緊急輸送道路が約1万カ所あることを踏まえると、引き続きの対策が必要である。

■ 国土強靱化に関する枠組みと今後の方向

14年に閣議決定された基本計画には、概ね5年ごとに内容を見直すことが明記されていた。しかし、18年に西日本豪雨災害、台風21号、北海道胆振東部地震と、風水害・地震が相次いだことから、脆弱性の緊急点検を実施して、18年12月に基本計画を前倒しで改定した。基本計画改定と同時に事業規模7兆円の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を、また20年には、事業規模15兆円に上る「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」をそれぞれ閣議決定した。5か年加速化対策の期間後については、国土強靱化基本法(基本法)の改正法案の成立(注)に基づき、政府は「国土強靱化実施中期計画」を策定する。

■ 新たな基本計画(素案)の骨子

今回の基本計画改定にあたり、その構成は現行計画から大きく変わっていないが、国土強靱化を推進するうえでの基本的な方針として、新たに「デジタル等新技術の活用による国土強靱化施策の高度化」「地域における防災力の一層の発揮(地域力の発揮)」が加わった。この背景には、(1)進展著しいデジタル技術の活用を促進し、災害予測精度の向上、防災情報の高度化、災害支援の迅速化につなげていくこと(2)地域住民の防災意識ならびにDEI(Diversity, Equity & Inclusion)の観点も踏まえた地域防災レジリエンスを向上させることで、地域の防災力を強化すること――がある。

そのほか、「六つの横断的分野」に「デジタル活用」を加えている。今後、基本法の改正法案が成立すれば、関連する事項が書き込まれる可能性はある。

◇◇◇

講演後、サプライチェーンや電力インフラの強靱化などをめぐり質疑応答が行われた。また、基本計画素案に対する企画部会としての意見を取りまとめ、6月15日に政府へ提出した。

(注)同法案は、6月16日に公布された

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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