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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年7月20日 No.3599 解雇無効時の金銭救済制度ならびに従業員代表制の必要性と基本的な考え方 -労働法規委員会

土田氏

経団連は6月20日、都内で労働法規委員会(冨田哲郎委員長、小路明善委員長、芳井敬一委員長)を開催した。解雇無効時の金銭救済制度ならびに従業員代表制の必要性と基本的な考え方について、同志社大学法学部・大学院法学研究科の土田道夫教授から説明を聴くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。

■ 解雇無効時の金銭救済制度

英国やドイツ等の諸外国には、不当な解雇に直面した労働者の救済方法として、企業による一定額の補償金の支払いを条件に労働契約の解消を認める「金銭救済制度」が存在する。わが国では、厚生労働省の「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」(2017年5月に報告書を公表)等で議論されたが、現時点で制度化には至っていない。

解雇無効時の金銭救済制度の導入を積極的に検討すべきと考えている。同制度のメリットを3点挙げる。

1点目は、労働者の救済手段の多様化である。労働者の意識は転職志向にシフトしており、自身を解雇した企業への復帰に固執せずに転職を希望する労働者にとって、金銭救済制度は新たな救済の選択肢となる。

2点目は、裁判所の判決による金銭救済の実施である。労働局・労働委員会の「あっせん」や労働審判手続きの「調停」も、金銭の支払いにより解雇事案を解決に導いているが、これらは当事者間の合意を前提とする制度である。金銭救済制度は、労使の合意が成立しない無数の労働者を救うことができる。

3点目は、他の制度に対する波及効果である。労働局のあっせんによる解雇事案の解決金額は約34.5万円(12年度の平均値)と低い水準にある。金銭救済制度の補償金を適切な水準に設定できれば、あっせんを含む多様な紛争処理機関における解決金水準を引き上げ、救済の実効性を高める可能性がある。

■ 従業員代表制

有期雇用労働者やパートタイマーの均衡待遇の実現等には、労使コミュニケーションが重要となる。しかし、労働組合の組織率が低下傾向にあることに加え、働き方改革では法規制の強化のみが進み、労使自治を推進力として利用しようとする発想に乏しい。こうしたなか、労使自治を推進するためには、労働組合のない企業における従業員代表制の設置について検討する必要がある。有期雇用労働者等の労働条件等については、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パート・有期法)による企業との協議等が制度化されたことから、労働組合の有無を問わず、労使協議を促す制度を導入することが考えられる。

従業員代表制の導入は、コーポレートガバナンスの観点からも重要である。コーポレートガバナンス・コードは、基本原則の一つに従業員等多様なステークホルダーとの適切な協働を掲げる。従業員代表制は、この多元主義モデルの確立にもつながると考える。

【労働法制本部】

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