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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年8月3日 No.3601 G7広島サミットの模様 -外交委員会

中村氏

5月19~21日に開催されたG7広島サミットに先立ち、経団連は4月19、20の両日、G7ビジネス・サミット(B7サミット)を主催し、G7各国の経済団体と協力して「B7東京サミット共同提言」を策定した。十倉雅和会長らが岸田文雄内閣総理大臣に同共同提言を手交し、実現を働きかけた結果、G7サミットの首脳の合意文書である「G7広島首脳コミュニケ」には、貿易・投資、環境・エネルギー、デジタル等の多くの分野で、同共同提言の内容が反映された。

こうした経緯を踏まえ経団連は7月7日、外交委員会(片野坂真哉委員長、大林剛郎委員長)を開催し、G7サミットで岸田首相のサブシェルパ(補佐役)を務めた外務省経済局の中村和彦審議官から、同サミットの模様について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ サミット全体を貫く視点

ロシアのウクライナ侵略から1年が経過し、中長期的な挑戦も顕在化するなかでG7サミットを主催するにあたり、日本政府は、(1)法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の堅持(2)グローバル・サウスと呼ばれる国々を含むG7を超えた国際的なパートナーへの関与の強化――の二つの視点で取り組んだ。

G7広島首脳コミュニケの前文では、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持・強化することなどを強調した。

■ 各テーマのポイント

経済的強靭性・経済安全保障に関しては、サプライチェーンの構築・強化に取り組む際の原則として、(1)透明性(2)多様性(3)安全性(4)持続可能性(5)信頼性――を明記した。また、経済的威圧に対しては、威圧行為の抑止や対抗等のために「経済的威圧に対する調整プラットフォーム」を立ち上げた。同時に、自由で公正なルールに基づく多角的貿易体制にコミットメントすることを宣言した。

エネルギーと気候変動については、各国の事情に応じた多様な道筋があることを認識しつつ、それらがネット・ゼロの共通の目標につながることを強調した。

デジタルに関しては、生成AIに関する議論を行うために「広島AIプロセス」を立ち上げるよう関係閣僚に指示した。また、信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)の具体化のため、国際枠組みであるIAP(相互運用のための制度的枠組み)の設立を承認した。

国際保健については、(1)グローバルヘルス・アーキテクチャーの発展・強化(2)ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成(3)国際保健におけるイノベーションの活用――の三つの柱を打ち出した。

食料安全保障に関しては、喫緊の食料危機への対応のみならず、中期、長期の対応も打ち出した。途上国からも高い評価を受けていると認識している。

地域情勢では、中国と建設的かつ安定的な関係を構築する用意があると明言しつつ、非市場的な政策・慣行や不当な技術移転、経済的威圧等の問題も取り上げた。

■ 今後に向けた取り組み

今後、東アジア首脳会議やG20ニューデリーサミット等の重要な国際会議の場で、G7の成果をフォローアップしたい。特に、G20については、2024年はブラジル、25年は南アフリカ共和国が議長国を務めることから、グローバル・サウスとの協力は一層重要になる。

【国際経済本部】

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