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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年10月12日 No.3608 第55回東北地方経済懇談会を開催

経団連と東北経済連合会(東経連、増子次郎会長)は9月22日、仙台市内で「第55回東北地方経済懇談会」を開催した。経団連からは、十倉雅和会長、冨田哲郎審議員会議長、副会長らが、東経連からは増子会長をはじめ会員約120人が参加し、「成長と分配の好循環~科学技術と人への投資で未来を創る」を基本テーマに意見交換した。

懇談会に先立ち一行は、舞台アグリイノベーションの亘理精米工場(宮城県亘理町)を訪問。同社の大山健太郎会長、針生信夫社長から説明を聴いた後、低温製法による精米工程などを見学した。

舞台アグリイノベーションを視察

経済懇談会の開会あいさつで東経連の増子会長は、東北・新潟における科学技術プロジェクトの集積などが同地域の成長に結び付くことが期待されると述べた。そのうえで、今後、これらをトリガーとして、高度人材を海外から集めると同時に、東北・新潟としても高度人材を育成していく必要性を強調した。

続いて、経団連の十倉会長は、「サステイナブルな資本主義」の実践に向けて、「成長と分配の好循環の実現」を目指すと表明。グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、分厚い中間層の形成などに取り組むとの決意を示した。また、中国等による日本の水産物の輸入全面停止を受け、日本の水産品の応援消費に引き続き取り組んでいくと述べた。

■ テーマ1「科学技術・イノベーションの推進」

まず、東北・新潟で進む科学技術プロジェクトと再生可能エネルギー拡大、および中核企業・スタートアップ振興に関して、東経連から問題提起があった。

これに対して、経団連から、

  1. (1)社会課題の解決に向け、オープンイノベーションやスタートアップのエコシステム構築を進めることが重要である。東経連の次世代放射光施設に関する取り組みやスタートアップ支援に期待する(澤田純副会長)
  2. (2)GXの実現には、再エネの主力電源化が必要であり、秋田県での洋上風力の商業運転開始は大きな一歩である。市況や地政学リスクに左右されにくい原子力発電の役割も極めて重要である(泉澤清次副会長)
  3. (3)GXやDXに適切に対応していくためには、技術進歩や経済社会の変化に対応していない規制や制度を不断に見直し、イノベーションの社会実装につなげていくことが不可欠である(筒井義信副会長)

――との発言があった。

■ テーマ2「人への投資・多様な働き方の推進等を通じた地域の活性化」

次に、若手人材の活躍、および地域産品の輸出促進について、東経連から問題提起があった。

これに対して、経団連から、

  1. (1)働き手の成長やエンゲージメント向上には、経営トップや経営陣が先頭に立って、働き手が自律的なキャリア形成やリスキリングに挑戦し続けられる企業カルチャーへと変革する必要がある(小路明善副会長)
  2. (2)「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」や全国知事会と連携して、「人材育成」と「地域経済活性化」に取り組んでいく。また、2025年日本国際博覧会の全国的な機運醸成への協力をお願いする(永井浩二副会長)
  3. (3)日本を訪問した観光客によって、海外での日本食需要が高まってきている。これを好機ととらえ、ジャパンブランドとして日本食の魅力を海外に積極的に発信していくことが重要である(佐藤康博副会長)
  4. (4)経済連携協定(EPA)は、農林水産品・食品の輸出拡大に貢献する。EPAを通じた輸出市場の確保は、生産と消費の需給バランス調整が難しい分野の持続可能性を高めることにも役立つ(安永竜夫副会長)
  5. (5)地域活性化の観点からも、災害を想定して持続可能な社会を構築する必要がある。「防災DXの推進」「事前復興」「社会機能の強靭化」「官民連携」「意識向上・人材育成」に優先的に取り組むべき(永野毅副会長)

――との発言があった。

最後に、経団連の冨田審議員会議長が「東経連から紹介のあった科学技術・イノベーションに関する取り組みは、日本全体でのイノベーション創出、そして成長と分配の好循環にもつながる重要な取り組みである。さらなる進展に期待している」と総括した。

【総務本部】

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