1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2023年10月19日 No.3609
  5. 報告書「サステナブルな商品・サービス選択の推進」を公表

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年10月19日 No.3609 報告書「サステナブルな商品・サービス選択の推進」を公表

経団連は10月17日、報告書「サステナブルな商品・サービス選択の推進~共感・応援消費を通じた社会課題解決」を公表した。同報告書は、持続可能な消費と生産を確保するため、消費を通じて企業と消費者が一体となって社会課題解決を推進するための考え方について、消費者政策委員会企画部会(楯美和子部会長)における検討等を踏まえて取りまとめたもの。ポイントは次のとおり。

■ サステナブルな消費が広がる背景

エシカル、グリーン、フェアなどのキーワードが付く商品・サービスの消費が広がりつつある。背景には、倫理的な啓発・意識の変容に加え、消費者行動における二つのポジティブな傾向がある。

一つ目は、自分らしさを追求する消費(意味消費)である。消費者が帰属する社会や文化によって、快適なライフスタイルやウェルビーイングの概念は異なり得るなかで、消費の社会的・文化的価値、自分らしさ(意味)を追求する意識が高まっている。

二つ目は、共感・応援消費である。消費を通じて生産者や企業を応援する「応援消費」は、「情報や体験を共有したい」「応援したい」といった人々の「共感」を伴うことで、他者・社会に大きく広がる可能性を秘めている。

■ ポジティブな選択・購買を推進するうえでの現状や課題

図表1 ポジティブな選択・購買を推進するうえでの現状や課題

(図表のクリックで拡大表示)

支出や行動等のコストの重さ、生活習慣の壁、社会課題の複雑さ、効果・効能への不安等によって、消費者が行動を起こさない場合がある。また、社会課題によっては、情報を表示すること自体が「政治性」を与えることも懸念される。企業としては、わかりやすい情報提供のために、取り組む社会課題が偏るおそれもある。加えて、サステナビリティーについて消費者が行動・発信しづらい文化の存在等によって、倫理的行動が社会に広がりにくい可能性がある(図表1参照)。

■ 課題克服に向けた六つの要素

(1)研究開発、ビジネスモデルの変革

これらの変革は、サステナブルな商品・サービスの価格の適正化、品質・アクセシビリティーの改善に寄与し得る。

(2)サステナビリティー価値の可視化

サステナブルな商品・サービスを消費者が進んで選択できるよう、社会的価値の評価方法の確立、認証や表示についての検討が求められる。

(3)当事者を巻き込んだマーケティング

サステナビリティー価値実現の前提として、企業、グループ、サプライチェーン全体に関する情報提供が重要となる。また、消費者が抱える課題の解決や生活様式の変革を含め、当事者を巻き込んで商品・サービスを提供することが、多様な消費者から「信頼・共感」を得ることにつながる。

(4)消費者との協創、情報・サービス提供のポイント「安心・身近・共感」
図表2 消費者との協創、情報・サービス提供のポイント

社会課題解決がどれほど効果的かという「安心・納得」に資する情報提供や、さまざまな人々が「身近」に参加・共有しやすい仕組みの構築、課題解決のストーリーや生産者情報の提示等を通じて、多様な消費者から「共感」を得ることが、応援消費の波及・拡大につながり得る(図表2参照)。

(5)多様な主体間の連携・協働と啓発

サステナビリティー価値の社会的認識の向上や普及促進に向けては、多様な主体間の連携・協働が効果的である。また、法整備を含む、社会全体の環境整備も不可欠である。

(6)企業・消費者双方のコンプライアンス

消費者が安心して商品・サービスを選択できるような環境を整備するためには、企業・消費者双方に倫理・道徳にのっとった行動が求められる。

あわせて、官民一体での広報活動を通じた意識変容、多様な消費者が社会課題解決を実践しやすい仕組みの構築等に向けて、政府・地方公共団体においても、積極的な取り組みの検討を期待する。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

「2023年10月19日 No.3609」一覧はこちら