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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年10月19日 No.3609 わが国の防衛政策の動向 -2023年度防衛産業委員会総会を開催/増田防衛事務次官が講演

増田氏

経団連は9月20日、東京・大手町の経団連会館で防衛産業委員会(泉澤清次委員長)の2023年度総会を開催した。増田和夫防衛事務次官が、わが国の防衛に関する政策の動向について講演した。概要は次のとおり。

■ 新たな戦略文書の策定

22年12月16日、政府は国家安全保障戦略・国家防衛戦略・防衛力整備計画を新たに策定した。これらに基づく取り組みは、わが国の安全保障に関する基本的な原則を維持しつつ、戦後のわが国の安全保障政策を実践面から大きく転換するものである。

わが国は、戦後最も複雑な安全保障環境の最前線に位置しており、わが国の安全保障・防衛は地域社会の安全に直結する。わが国の防衛目標は、以下の3点である。

第1は、力による一方的な現状変更を許容しない安全保障環境を創出すること。

第2は、力による一方的な現状変更やその試みを同盟国・同志国等と協力・連携して抑止・対処し、早期に事態を収拾すること。

第3は、万が一、わが国への侵攻が生起した場合、わが国が主たる責任をもって対処し、同盟国等の支援を受けつつ、これを阻止・排除すること。

これらを達成するためのアプローチとして、(1)わが国自身の防衛体制の強化(2)日米同盟の抑止力と対処力の強化(3)同志国等との連携の強化――を進めていく。

■ 防衛力の抜本的強化

とりわけ第3の防衛目標を達成する観点から、防衛力の抜本的な強化が求められる。そのための七つの柱として、(1)スタンド・オフ防衛能力(注1)(2)統合防空ミサイル防衛能力(3)無人アセット防衛能力(4)領域横断作戦能力(5)指揮統制・情報関連機能(6)機動展開能力・国民保護(7)持続性・強靱性――を掲げている。防衛力整備計画においては、23年度から27年度までの5年間における所要経費を43兆円程度としている。

■ 防衛生産・技術基盤等にかかる取り組み

防衛生産・技術基盤は、新しい戦い方に必要な先端技術を防衛装備品に取り込むために不可欠なものであり、いわば防衛力そのものである。こうした観点から、利益率等の改善による適正な利益の確保や、サイバーセキュリティー等の強化を進めるとともに、将来の戦い方に直結し得る装備・技術分野に集中的に投資していく。

また、安全保障上意義が高い防衛装備移転や国際共同開発を幅広い分野で円滑に行うため、防衛装備移転三原則(注2)等の見直しについて検討する。

(注1)侵攻する相手方の艦艇などに対して、脅威圏外の離れた位置から対処する能力

(注2)防衛装備の海外移転に関して14年にわが国政府が定めた原則

【産業技術本部】

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