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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年10月19日 No.3609 トルストウソフ・モルドバ投資庁カントリーブランド振興部長との懇談会を開催

トルストウソフ氏

経団連の日本NIS経済委員会(國分文也委員長)は9月22日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催した。来日中のイリーナ・トルストウソフ モルドバ投資庁カントリーブランド振興部長から、同国の最新の経済状況や、投資誘致策について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ モルドバの地理的魅力

近年、国内外の投資家からモルドバの地理的位置付けに注目が集まっている。地理的な利点としてはEUのどの国へも2日以内での移動が可能であり、新型コロナウイルスを機に、中国などからモルドバへ物流拠点を移した欧州企業も多い。また、モルドバは、EU、独立国家共同体(CIS)諸国、英国、トルコと自由貿易協定を結んでおり、それらの国・地域との間では貿易手続きを簡素化することができ、多くの市場にアクセスできることが強みである。特に、EUとは2014年に深化した包括的自由貿易協定(DCFTA)を結んで以来、関税障壁撤廃という自由貿易協定(FTA)本来の効果が発揮されている。加えて、双方間の貿易経済活動にEUのルールが用いられることになった。そのため、EUの投資家・企業にとっては、自国と同じ法律・規制をモルドバでのビジネスにも適用することが可能となった。

これらのFTAの活用によって、モルドバの貿易構造は大きく変化した。10年前まではロシアを中心とするCIS諸国が主要な貿易相手国であったが、現在ではEUが最大の貿易相手であり、輸出総額の60%、輸入総額の50%を占めている。また、外国からの投資総額のうち83%がEUからである。

■ モルドバの有望産業

個別産業のうち戦略的な分野としては、ICT事業が挙げられる。他国に比べ、二つのアドバンテージがあると考えている。1点目は、ICTインフラが充実していることである。光ファイバー網・第4世代移動通信システム(4G)のカバー率が98%を超えるとともに、インターネット使用料も東欧で最も安い。2点目はICTのプロフェッショナル人材が国内に3万人もいることである。最近ではCrunchyroll(クランチロール)というソニーグループに所属するアニメ制作会社がモルドバにオフィスを設立し、世界中にアニメを提供している。

今後のウクライナ復興においても、ウクライナと隣接しているモルドバが果たす役割は大きいと考える。あらためて、モルドバの地理的優位性に注目してほしい。

【国際経済本部】

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