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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年10月19日 No.3609 新しい時代の働き方 -厚労省から聴く/労働法規委員会労働法企画部会・労働時間制度等検討ワーキング・グループ

澁谷氏

経団連は9月19日、東京・大手町の経団連会館で、労働法規委員会労働法企画部会(田中憲一部会長)と労働時間制度等検討ワーキング・グループ(田中輝器座長)の合同会合を開催した。厚生労働省は「新しい時代の働き方に関する研究会」を設置し、働き方に対するニーズの個別・多様化や人口構造の変化等の社会変化を踏まえ、今後を見据えた労働基準法制の課題について幅広く議論している。そこで、同省労働基準局労働条件政策課の澁谷秀行課長から、同研究会報告書の中間取りまとめに関する説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 個人と企業の関係の変化と、労働基準法制の見直しの視点

経済のグローバル化や急速なデジタル化の進展、人口減少による人手不足の深刻化など、企業を取り巻く環境は大きく変化している。また、個々の価値観や生活スタイルにあわせた働き方を希望する人が増加し、働き方に対するニーズは個別・多様化している。こうした新たな働き方を希望する働く人個人には、自らにあった働き方・キャリア形成を志向しつつ企業に貢献することが、他方で企業には、労働者の希望に応じて個別・多様な働き方を実現できる環境整備が不可欠となっている。

以上の変化を踏まえると、これからの労働基準法制には、労働基準行政が果たしてきた労働者を「守る」役割を維持しつつ、労働者の多様な選択や自発的な能力開発、成長を「支える」役割が求められる。

■ 新しい時代に即した労働基準法制の方向性

検討会では、主に五つの点から今後の労働基準法制の方向性について検討している。第1に、企業を取り巻く環境や働く人のニーズが個別・多様化するなかでも、労使対等の原則や均衡待遇など、労働基準法制の基本原則は変わらない基盤であること。第2に、労働者の健康確保は企業の責務であるものの、リモートワークなど多様な働き方が進展するなかで、個々の労働者の置かれた状況に応じた労働者の健康管理の仕組みについて、今後も継続的な検討を要すること。特に時間や場所にとらわれない働き方をしている人などは、例えばスマートウオッチなどで自身の健康保持増進を主体的に行うことも考えられること。第3に、働く人の選択・希望の反映に向けた制度の柔軟化に向けて、賃金や待遇についての労働者間の公平性・納得性の確保や、企業が多様な働く人の声を吸い上げて労働条件に反映できる集団的労使コミュニケーションのあり方の検討などが課題となること。第4に、労働基準法制が守られ、実効性のあるものにするために、法制度をシンプルでわかりやすくすることも重要であること。最後に、働き方が個別・多様化するなかでも効果的・効率的な監督指導ができるよう、労働基準監督行政のアップデートも検討していること。例えば、事業場の臨検監督を前提としない監督指導のあり方や、企業に労働条件等の情報開示を積極的に求めるといった市場メカニズムの活用も考えられること――などである。

■ 企業と働く人に期待すること

新しい時代の働き方の実現に向けては、法制度のみならず、個々の企業・働く人の行動も重要となる。今後、企業には、ビジネスと人権の視点をもって活動することや、人的資本投資等によるキャリア形成支援、労使でのビジネスの将来像など価値観の共有が求められる。

また、働く人には、自らが働き方を選択できるよう、健康保持増進や労働基準法制の理解・活用に取り組むことなどが期待される。企業のパーパスや、ビジネスの将来像、それに適した人材像などについて、働く人の側からの積極的な情報収集や価値観の共有も重要である。

【労働法制本部】

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