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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年10月26日 No.3610 感染症危機に備えて -内閣感染症危機管理統括庁と意見交換/危機管理・社会基盤強化委員会

中村氏

経団連は9月27日、東京・大手町の経団連会館で危機管理・社会基盤強化委員会(永野毅委員長、安川健司委員長、渡邉健二委員長)を開催した。安川委員長、渡邉委員長ら72人が参加した。内閣感染症危機管理統括庁(統括庁)の中村博治感染症危機管理統括審議官から、「感染症危機に備えて」と題して説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

内閣感染症危機管理統括庁の発足について

感染症危機への対応にかかる司令塔機能の強化や次の感染症危機に迅速・的確に対応できる体制整備、政府全体の方針立案や行政各部の総合調整機能を担うことを目的として、2023年9月1日に統括庁が発足した。

■ 新型インフルエンザへの備え

政府は、09年に発生した新型インフルエンザの経験を踏まえ、国民の生命と健康を守り、国民生活や経済に及ぼす影響が最小となるよう、12年に「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(特措法)を制定した。特措法は行動計画の作成を含む体制整備や、外出自粛要請等の緊急事態が発生した際の措置について定めた。これを受け、13年には、国と地方公共団体等が連携し、発生段階ごとに講じる対策を定めた「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(政府行動計画)が策定された。

■ 新型コロナ対応

約3年半に及んだ新型コロナウイルス感染症対応では、事態の推移に合わせて対策の強化や柔軟な対応が可能となるよう、3回にわたって特措法が改定された。21年2月の改定では、「まん延防止等重点措置」の創設により、緊急事態に至る前から実効的な対策を講ずることが可能となった。また、政府対策本部長による指揮権の発動を可能とする時期について、従前はまん延防止等重点措置時および緊急事態宣言時に限定されていたが、迅速な初動対応を図る観点から、23年4月の改定において、対策本部設置時へと前倒しされた。

■ 統括庁の体制と当面の課題

統括庁は、政府行動計画の推進等に関する事務を所掌するとともに、厚生労働省に設置された感染症対策部や、25年度以降に設置される「国立健康危機管理研究機構(日本版CDC)」から科学的知見の提供を受けることとなっている。

平時は38人の専従者が勤務し、緊急時には関係省庁の職員との併任を含め、最大約300人規模の組織体制となる。トップの内閣感染症危機管理監には内閣官房副長官、厚労省との結節点となる内閣感染症危機管理対策官には厚労省の医務技監がそれぞれ就任している。

当面の取り組みとしては、「新型インフルエンザ等対策推進会議」において、17年以降改定が行われていない政府行動計画の改定に関する議論を進め、24年6月ごろをめどに成案を得る予定である。

◇◇◇

講演後、政府行動計画の改定に向けて、医療物資等の戦略的備蓄や有事の際の医薬品の確保の重要性、国内で必要な生産を維持するための余力の確保に向けた公的な支援や法整備のあり方などをめぐり、質疑応答が行われた。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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