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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年11月9日 No.3612 第41回日本・香港経済合同委員会を開催 -日本・香港間の経済関係の強化と多様化について議論

経団連の日本・香港経済委員会(國部毅委員長、池田潤一郎委員長)は10月5日、第41回日本・香港経済合同委員会を東京・大手町の経団連会館で開催した。日本側からは、國部・池田両委員長はじめ40人、香港側からは、デイビッド・チュウ香港・日本経済委員長、マーガレット・フォン香港貿易発展局総裁ら約20人が参加した。概要は次のとおり。

■ 日本・香港は引き続き重要な経済パートナー

開会あいさつで國部委員長は、香港は多くの日系企業にとってアジアビジネスの中核拠点であるとしたうえで、今回の会合は2020年の国家安全維持法施行以降の香港の現状を直接把握し得る貴重な機会であると述べた。また、チュウ委員長は、香港で活動する外資系企業のなかで日系企業の数が国別で最多であることなどを挙げ、経済面で引き続き、日本と強い結び付きを維持していることを強調した。

■ 香港のRCEP加盟への期待

第1セッションでは、日本と中国および香港の経済動向を概観した。

日本側からは、香港が加盟を申請している地域的な包括的経済連携(RCEP)協定について、加盟国間の投資の活発化やサービス産業の参入障壁が低下することによって、香港が果たしているハブ機能の優位性が高まることを期待する発言があった。これに対し、香港側からは、香港に拠点を置く企業は、RCEP加盟国との取引において、すでに関税引き下げや貿易円滑化等の恩恵を享受しているとの説明があった。また、香港のRCEP加盟が実現した暁には、貿易量のさらなる拡大などが期待されるとの発言があった。加えて、香港・マカオと広東省9都市で構成される経済圏であるグレーターベイエリア(GBA)の発展のため、香港と中国本土の連結性を強化する考えが示された。

■ 日本・香港のビジネス連携の可能性~共通課題の解決に向けて

第2セッションでは、日本・香港に共通する課題である脱炭素社会への移行、少子高齢化への対応、さらには、これらを含む課題解決のための先端技術をテーマに、日本・香港のビジネス連携について議論した。

まず、脱炭素をテーマに、日本側、香港側から、建設業界におけるグリーン技術や、水素燃料電池バスの開発について説明があった。また、少子高齢化対応としてのヘルスケアについて議論がなされ、日本側から、香港初の採用となる陽子線がん治療システムが紹介された。香港側からは、香港の大学発スタートアップと日本の製薬企業による連携について説明があった。最後に、先端技術について、日本側からは、国際ハブである香港の交通分野の効率化へ貢献する事例として、顔認証や映像解析、AI技術などの活用を挙げて説明した。香港側からは、技術活用が進む不動産開発において、技術アライアンスへの日系企業の参加を求める声や、脱炭素社会実現のために日本企業が有する低炭素材料や再生可能エネルギー技術の導入に期待する声が寄せられた。

最後に、池田委員長が、中国本土やASEANをにらむサプライチェーンにおいて香港が果たす役割への期待や、諸課題の解決に関する日港連携の重要性、将来的な香港のRCEP加盟に関する考え方などについて、議論を総括するコメントを行った。

【国際協力本部】

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