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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年11月9日 No.3612 ローゼンバウムBIAC事務局長との懇談会を開催 -OECD諮問委員会

ローゼンバウム氏

プリマー氏

経団連は、OECD(経済協力開発機構)の公式諮問機関であるBIAC(Business at OECD、経済産業諮問委員会)への参画を通じて、積極的にOECDの政策論議に関与している。OECD諮問委員会(稲垣精二委員長)は10月16日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、来日したハンニ・ローゼンバウムBIAC事務局長、ニコール・プリマーBIAC政策・戦略担当副事務局長から、OECDに対するBIACの優先課題と期待について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ OECDの加盟国以外へのアプローチ

OECDには現在38カ国が加盟している。さらに5カ国(ブラジル、ブルガリア、クロアチア、ペルー、ルーマニア)が正式加盟に向けて協議を進めており、このほか、アルゼンチン、インドネシア、ウクライナも加盟を申請している。OECDの加盟審査は、価値観や基本原則だけではなく、200以上に及ぶ法的文書を遵守する意思を確認する厳格なもので、長期的なプロセスになる。加盟国が増えるのは望ましいことだが、OECDルールを遵守する国のみが加盟すべきである。

OECDはインド太平洋地域への関与を深めるため「OECD東南アジア地域プログラム」(SEARP)の活動を拡充するとともに、2023年のOECD閣僚理事会において「OECDインド太平洋戦略枠組み」を採択した。BIACも同様に同地域への関与を強化しており、ASEAN-BAC(ASEANビジネス諮問評議会)と協力覚書を締結する予定である。

■ 24年の閣僚理事会への期待

24年は、日本がOECD閣僚理事会の議長国を務める。閣僚理事会での議論は、その年のOECDの活動の軸を設定する重要なものとなる。24年春の閣僚理事会の前に開催される、OECD事務局、日本政府、BIAC、TUAC(OECD労働組合諮問委員会)による四者協議(事前コンサルテーション会合)は、閣僚理事会で扱うテーマについて直接意見を述べる良い機会である。BIACは経団連と緊密に協力し、閣僚理事会の議論に影響を与えていきたい。また、経団連は日本政府と緊密に協力してほしい。

■ 各分野におけるBIACの取り組み

BIACはさまざまな分野で活動しているが、そのなかのいくつかを紹介する。

貿易については、OECDはルールに基づく経済秩序や、市場の開放性の重要性を指摘し続けている。BIACもこれを支持しており、さらに関税不賦課モラトリアム(電子送信に関税を賦課しないという慣行)の恒久化や、公平な競争条件の確保等を求めている。

サプライチェーンの強靭化については、BIACは多くのケーススタディーを提供した。これも踏まえ、OECDは、(1)リスクの予見(2)リスクにさらされる部分の最小化(3)市場の開放(4)信頼の醸成――の4点が、強靭なサプライチェーンを築くカギとなると提言している。

環境では、OECDによる、各国の温室効果ガス排出削減政策の有効性を把握・検討する「炭素緩和アプローチに関する包摂的フォーラム」(IFCMA)等に関わっている。またデジタルでは、G7広島サミットでOECDに課された(1)広島AIプロセスに関する分析(2)信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)――の具体化に取り組んでいる。さらに国際課税に関するOECDの議論にも、引き続き、積極的に関わっていく。

【国際経済本部】

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