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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年11月23日 No.3614 日ASEAN友好協力50周年~さらなる連携に向けた政府の取り組み -アジア・大洋州地域委員会

経団連は10月30日、東京・大手町の経団連会館でアジア・大洋州地域委員会(原典之委員長)を開催した。外務省の中村亮南部アジア部長と経済産業省の松尾剛彦通商政策局長から、日ASEAN友好協力50周年に向けた政府の取り組みについて説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ ASEANと日本外交(中村氏)

ASEANは人口約6億7000万人を有し、著しい経済成長を遂げている。地政学的要衝に位置し、ASEANの平和と繁栄は、日本を含む東アジア地域全体の平和と繁栄に直結している。

ASEANは、インド太平洋地域への関与の指針として、2019年に「インド太平洋に関するASEANアウトルック」(AOIP)を採択した。AOIPと、日本が進める「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)は、開放性、透明性、包摂性、国際法の尊重といった本質的な原則を共有していることから、日本はいち早くAOIP支持を表明している。四つの優先協力分野(海洋協力、連結性、SDGs、経済)のうち連結性について、その強化に向けた協力を進めるべく、23年9月、交通インフラ整備、デジタル・コネクティビティ、海洋協力、サプライチェーン強靭化、電力、人・知の六つの分野で「日ASEAN包括的連結性イニシアティブ」を発表した。

同月の日ASEAN首脳会議では、双方の関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げすることで合意した。12月の友好協力50周年特別首脳会議(特別首脳会議)では、将来の関係の方向性と新たな協力のビジョンを共同で打ち出し、日ASEAN関係を一層強化していく。

■ 日ASEAN友好協力50周年の取り組み(松尾氏)

ASEAN各国の経済状況は多様である。地域最多の人口と豊富な資源を抱えるインドネシアは、内需主導による底堅い経済成長が見込まれる。ベトナムは「現代的な産業を持つ高中所得国」を目指しており、日本として産業高度化に協力できる余地が大きい。タイは、内燃機関車の事業基盤を守りながら電気自動車(EV)を振興しようと模索している。日本企業が多数進出する同国といかに連携していけるか考えなければならない。

経産省は、次の50年を見据え、23年8月に「日ASEAN経済共創ビジョン」を公表した。経済共創の柱に「コネクティビティの強化、活力ある人的資本の共創、オープンイノベーションの推進、サステナビリティの実現」を掲げ、ビジネス環境の整備と共創プロジェクトの促進に取り組んでいく。

22年1月に岸田文雄内閣総理大臣が提唱した「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想」は、23年3月に東京で閣僚会合を初めて開催し、大きな一歩を踏み出した。電力供給構成の大半を石炭と天然ガスが占めるASEAN各国において、カーボンニュートラル目標を達成するにはエネルギー転換が不可欠であり、日本からの投資や支援に対する期待は大きい。具体的なプロジェクト支援と政策協調の両輪で、ASEAN各国と連携してアジアのエネルギートランジションを推進していく。12月には東京でAZEC首脳会合を開催する。

また、日本主導でASEAN等と設立した東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)の機能を強化すべく、脱炭素、産学官の人的ネットワーク形成・強化、社会課題解決に向けた取り組み強化等の政策協調・制度プラットフォームの構築・拡充を図る。

12月には特別首脳会議にあわせて、「日ASEAN経済共創フォーラム」と「ヤングビジネスリーダーズサミット、Z世代ビジネスリーダーズサミット」を開催する。これらを通じて、日ASEANの経済共創の実現を進めていきたい。

【国際協力本部】

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