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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年12月7日 No.3616 ウクライナ向け貿易保険・投資保険に関する説明会を開催 -ウクライナ経済復興特別委員会

経団連のウクライナ経済復興特別委員会(國分文也委員長)は11月16日、東京・大手町の経団連会館でウクライナ向け貿易保険・投資保険に関する説明会を開催した。日本貿易保険(NEXI)の本道和樹取締役、ウクライナ貿易保険機構(ECAウクライナ)のルスラン・ハシェフ会長、オクサナ・オチェレティアナ副会長から、ウクライナビジネスに関する貿易保険・投資保険の取り扱い状況や、戦後の海外投資誘致策について、それぞれ説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ NEXIによるウクライナ向け貿易保険の取り組み(本道氏)

本道氏

2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降も、NEXIはウクライナ向けの保険引受について、輸出・投資を含めた保険の継続など、オープンな方針を維持している。22年3月から23年10月までのウクライナ向け保険引受件数182件のうち、投資保険は、侵攻前から進出している企業への更新などが主である。侵攻後、新たにウクライナに投資をするという事例はまだない。

また、22年2月以降、NEXIによる保険金支払いは6案件、総額1.4億円を支払っているが、23年1月以降は保険事故の発生はない。

NEXIと国際機関との連携という点では、23年1月にG7の輸出信用機関(ECA)がウクライナ支援に関する共同声明を発表し、ウクライナ復興への継続的な支援、同国民との不変の連携、ウクライナ向けビジネスの支援継続を確認した。今後も復興に必要な支援と投資について、二国間および多国間の対話を重視していく。

NEXIとしては、ECAウクライナに対し投資保険業務に関する技術協力・知見共有を行うなど、引き続き連携強化に努めたい。今後、日系企業がウクライナへ進出する際に、現地の情報収集という意味で、強力なパートナーになると期待している。

報道のとおり、24年2月には東京で日ウクライナ復興会議が予定されている。ウクライナビジネスについてはぜひ前広にNEXIに相談してもらいたい。

■ ECAウクライナの取り組み(ハシェフ氏、オチェレティアナ氏)

ハシェフ氏

オチェレティアナ氏

ECAウクライナは、18年に設立されたウクライナ唯一の公的輸出信用機関である。主に輸出にかかる保険を扱っている。今後は国内外からの投資に対しても保険を付与できる仕組みをつくる予定である。

戦争中の現在でも、ウクライナへの海外直接投資は継続している。22年以降にロシアの侵攻を受けて一度止まった投資の再開や、これまでの配当の再投資という事例が多い。主な投資先は製造業、卸売、自動車修理であり、投資元は主にキプロス、オランダ、英国、ドイツなどである。

われわれは、ウクライナへの投資の誘致に向けてさまざまな努力を行っている。1点目はウクライナへの投資プロジェクトに対する支援策の策定である。条件を満たした外国企業に対し、関税の免除や手続きの簡素化が図られるよう、法改正を行っている。2点目は国有企業の民営化である。現在ウクライナには300以上の国有企業があり、これら企業の民間への売却を進めている。また、投資家が求める情報を提供できるよう、すべての国有企業の情報などを一括で管理する機関を立ち上げた。ウクライナへの投資に関して、日本企業からの相談も受け付けている。

【国際経済本部】

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