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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年12月7日 No.3616 レアアースなど海洋鉱物資源の開発 -海洋開発推進委員会企画部会

経団連は11月14日、東京・大手町の経団連会館で海洋開発推進委員会企画部会(尾藤雅彰部会長)を開催した。

政府は2023年4月に閣議決定した「第4期海洋基本計画」において、わが国の領海や排他的経済水域に賦存する海洋由来のエネルギー・鉱物資源は、国際情勢や地政学リスクに左右されない貴重な国産資源であると強調し、その開発・生産に向けて、資源量の把握や技術の確立等の促進を掲げている。こうしたなか、政府が基礎研究から社会実装までを見据えて一気通貫で研究開発を推進する「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)の第3期(23~27年度)では、レアアースの生産技術の開発に向けた取り組み等が進められている。

そこで、SIP第3期「海洋安全保障プラットフォームの構築」の東垣サブプログラムディレクターから同プログラムのねらいについて、また、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の五十嵐吉昭理事から同機構の海洋鉱物資源に関する取り組みについて、それぞれ説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 東氏

SIP第3期「海洋安全保障プラットフォームの構築」では、第2期(18~22年度)までに確立・実証した深海資源の調査技術や回収技術等の社会実装を目指している。

具体的には、レアアースの生産技術の開発に向けて、資源量の精査や鉱区設定のためのデータの収集、採鉱・選鉱・精錬技術の開発、生産システムの検討を行う。また、より効率的な海中のデータ取得や環境影響評価に向けて、自律型無人探査機(AUV)などの海洋ロボティクスを用いた調査技術の開発を行っている。23年8月には南鳥島沖の水深6000メートルの海域で、高精度の海底地形地質データの取得に成功した。このほか、海洋玄武岩への大規模なCO2貯留・固定化技術に関する基礎調査研究も進める予定である。

これらの推進にあたっては産学官で取り組む必要があり、技術、情報、人材育成等で企業と連携して社会実装につなげたい。

■ 五十嵐氏

政府は概ね5年ごとに「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」を定め、その開発を推進している。JOGMECは経済産業省の委託を受けて海洋鉱物資源の開発に向けた調査や技術開発等に取り組んでいる。

海底から噴出する熱水に含まれる金属成分が沈殿した「海底熱水鉱床」では、過去5年間の調査で、新たに沖縄や伊豆・小笠原海域で七つの鉱床を発見した。掘削方法や揚鉱システムの検証等を進める。

海山の斜面等を覆う地質にコバルトを含有する「コバルトリッチクラスト」では、20年に実施した掘削性能確認試験のデータに基づき、専用採鉱試験機の製作や掘削の実証等を進めていく。

【産業政策本部】

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