経団連では、Society 5.0 for SDGsを実現する観点から、あらゆる分野でAIのメリットを享受できるAI-Poweredな企業・社会の実現を目指している。2023年10月に公表した「AI活用戦略Ⅱ~わが国のAI-Powered化に向けて」では、わが国における積極的なAI活用や付随するリスクへの対応、それらの前提となるAI開発能力の強化等について提言している。
目下、AIを取り巻く環境が大きく変容するなか、とりわけ生成AIの活用は国内外を問わず加速度的に進展しており、さまざまなコンテンツが世界各地で日々生み出されている。こうしたなか、ChatGPTを開発・提供する米国OpenAI社のブラッド・ライトキャップCOOが来日した。
そこで経団連は4月16日、東京・大手町の経団連会館でデジタルエコノミー推進委員会(東原敏昭委員長、篠原弘道委員長、井阪隆一委員長)を開催し、ライトキャップ氏から、AI活用の重要性や今後の展望について説明を聴いた。概要は次のとおり。
■ AI活用の重要性
OpenAIのミッションは、AIの活用を通じて全人類に便益をもたらすことである。AIは、われわれの想像を超えて指数関数的に進化している。開発当初、ChatGPTがこれほどの成果をもたらすとは考えていなかったが、現在では多くの企業においてChatGPTが活用されている。
AIは、異なるツールの活用、データの解釈など、さまざまなことができる。テキストベースのやりとりのみならず、画像認識をはじめ新たな機能との融合も進んでいる。AIの普及に伴い、労働のあり方に大きな変化がみられる。例えば、新人プログラマーがAIを用いることで、中堅プログラマーと同程度の仕事ができるといわれている。作業に要する時間が大幅に削減されるとともに、周囲の助けがなければ不可能であった仕事が可能になる。このほかにも、社内プロセスの変革や、プロダクトそのものの変革にも貢献するだろう。
■ 今後の展望
企業において、AIをいかに活用するか。AIを実装するためにはトップダウンの投資が求められる。一つのAIプロダクトを活用するだけで、直ちに成果が得られるわけではない。優れたAIを用いながら、社内におけるノウハウを蓄積していく必要がある。AIは基盤であり、将来的にはより大きな価値をもたらす。AIを活用できなければ、その次の波には乗れないだろう。
日本には非常に多くのChatGPTユーザーが存在する。優れたAIを開発するために、当社では世界的に見ても優れたチームを組成しており、4月15日にはアジア初の海外拠点として東京オフィスを開設した。今後は日本向けにカスタマイズしたAIを展開していく。
【産業技術本部】