経団連は5月4日、ブラジル・サンパウロで日本貿易振興機構(ジェトロ)、ブラジル全国工業連盟(CNI)、ブラジル輸出投資振興局(Apex-Brasil)、サンパウロ州工業連盟(FIESP)と「日・ブラジル・ビジネスフォーラム」を共催した。同フォーラムは、岸田文雄内閣総理大臣のブラジル訪問の機会を捉えて開催されたもの。岸田首相、ジェラルド・アルキミン ブラジル副大統領兼開発・産業・貿易・サービス大臣から来賓あいさつがあった。日伯経済界、日系人コミュニティから、総勢200人以上が出席した。概要は次のとおり。
なお、安永竜夫副会長・日本ブラジル経済委員長はじめ同行した日本企業各社代表は3日、ブラジリアでルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領に謁見した。
■ 日伯経済界が日メルコスールEPAの早期交渉開始に期待を表明
主催者としてあいさつした安永副会長は、日本とブラジルは補完的かつ互恵的な貿易関係を有しており、700社近くの日本企業がブラジルに拠点を置いてビジネスを展開していることに言及。そのうえで、(1)資源・食料の安全保障の観点に加え、カーボンニュートラル(CN)など地球規模の社会課題の解決に向けて、関連事業の創出を加速すべく日伯が協力する必要があること(2)日メルコスール(南米南部共同市場)経済連携協定(EPA)の締結を含む貿易・投資の基盤整備を進めることが極めて重要であること――を強調した。CNIを代表してあいさつしたジョズエ・ゴメス副会長・FIESP会長も、日系人コミュニティが大きく貢献してきた緊密な日伯経済関係をさらに強化すべく、EPAの必要性を訴えた。
■ 両国首脳は日伯の協力と連携強化への決意・期待を表明
岸田首相は、水素・アンモニア、バイオ・合成燃料等の分野におけるブラジルの高いポテンシャルに触れ、3日にルーラ大統領と共に発表した「日・ブラジル・グリーン・パートナーシップ・イニシアティブ」(GPI)(注)のもと、官民で連携し、日伯協力を強化していく決意を示した。続いてアルキミン副大統領は、日伯友好協力関係の長い歴史における日系人の活躍をたたえたうえで、両国での短期滞在査証の免除措置を通じた人的交流の円滑化、ならびにグリーンで持続可能な産業、ワクチン・抗生物質等の分野における日伯連携に期待を表明した。
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ブラジルは、2024年にG20サミット、25年に国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)をそれぞれ主催する予定である。また今般の岸田首相訪伯の際、日伯外交関係樹立130周年となる25年を「友好交流年」と位置付け、さまざまな分野で協力促進に取り組むことが確認された。このように、ブラジルへの関心が高まり、要人の往来も拡大する絶好の機会を活用し、経団連として、重要なパートナーであるブラジルとの経済連携の一層の強化に積極的に取り組んでいく。
(注)環境・気候変動対策および持続可能な開発を軸として、日本の技術を活用した協力を通じて戦略的グローバル・パートナーシップの一層の強化を図るもの
【国際協力本部】