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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年6月13日 No.3640 シーヤールトー・ハンガリー外務貿易相と懇談

シーヤールトー大臣(左)と東原副会長

経団連の東原敏昭副会長・ヨーロッパ地域委員長と齋藤洋二同企画部会長は5月21日、東京・大手町の経団連会館でハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外務貿易大臣と懇談した。シーヤールトー大臣の発言概要は次のとおり。

ウクライナにおける戦争およびEUによる対ロ制裁を受け、2023年はエネルギー価格が高騰し、ハンガリーは最大27%のインフレを記録した。天然ガスの85%、石油の95%を輸入に依存しており、エネルギー輸入額は、ウクライナ戦争前の70億ユーロから170億ユーロに増加した。内陸国であるハンガリーにとって、エネルギー安全保障を確保するためには、原子力発電の拡大が唯一の解である。現在、新たに2基を建設しており、完成すれば、電力需要の70%を賄うことができる。EUにおいても原子力を推進していく。日本と原子力分野でも協力を強化していきたい(注)

24年のインフレ率は4%に落ち着く見込みである。インフレを抑制できた要因の一つが、好調な対内直接投資である。23年、対内直接投資額は前年比2倍で、過去最高となる130億ユーロを記録した。ハンガリー政府が推進してきた「東方開放政策」が実を結び、アジアからの投資が8割を占め、投資額では中国が第1位であった。特に、電気自動車(EV)関連の投資が多く、バッテリーの製造工場の建設などがあった。ドイツの自動車メーカーとアジアのバッテリーメーカーの連携が進み、ハンガリーは欧州におけるEV製造のハブとなっている。外資誘致に注力しており、研究開発や人材育成について、最大50%の投資補助を提供している。

7月から、ハンガリーはEU議長国に就任する。(1)西バルカン諸国のEU加盟の推進(2)不法移民への対応(3)EUの産業競争力の強化――に重点を置く。EUの官僚主義を打破し、過度な規制を行わないことで、不必要な負担を削減したい。競争力を向上させるうえで、FTAの締結も加速させたい。日EU・EPAは、残された課題である投資保護規定に関する交渉を再開させたい。

(注)5月21日、経済産業省との間で原子力エネルギー分野における協力覚書に署名

【国際経済本部】

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