1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2024年6月13日 No.3640
  5. コステロ元米連邦下院議員と懇談

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年6月13日 No.3640 コステロ元米連邦下院議員と懇談 -11月の米大統領選挙および議会選挙の分析を聴く

コステロ氏

経団連は5月16日、ワシントンDCの米国事務所で、ライアン・コステロ元米国連邦下院議員(共和党・ペンシルベニア州選出、Ryan Costello Strategiesファウンダー)との懇談会を開催した。2024年11月の米国大統領選挙および連邦議会選挙の展望を聴くとともに、参加した経団連会員各社とのネットワーキングを行った。説明の概要は次のとおり。

足元ではサプライチェーン、税・財政、貿易、外交等のアジェンダが山積しているが、僅差でのねじれ国会のなか、あらゆる案件が政治的な意図のもとで進み、連邦議会の生産性は停滞している。大統領選挙・議会選挙後もこうした状況が続く可能性は相応にある。

大統領選挙で注目すべきは、両大統領候補の直近の言動ではなく、激戦州における世論調査の6カ月間のトレンドである。これによりデータの誤差や外れ値を排除できる。20年大統領選挙でドナルド・トランプ前大統領が勝った州でジョー・バイデン大統領が勝つことは難しく、民主党が勝利したジョージア州、ペンシルベニア州、アリゾナ州、ネバダ州、ミシガン州、ウィスコンシン州での勝敗がカギを握る。このうちトランプ氏は前者4州における世論調査のトレンドで優位にある。また、無党派層の多くはインフレや生活コストに最も関心を有しており、現下の経済情勢を受け、共和党の政策をより高く評価している。さらに第3の候補であるロバート・ケネディ・ジュニア氏は、本人が大統領になることはないが、トランプ氏とバイデン大統領両方の支持者を引き付ける要素を持っている。これらを踏まえ、トランプ氏の勝率はバイデン大統領を若干上回ると予測する。なお、その際の共和党副大統領候補は、ダグ・バーガム ノースダコタ州知事やティム・スコット上院議員が有力と考える。

現在、上院(100議席)は民主党51議席、共和党49議席となっている。今回の34議席の改選で民主党が過半数を守るためには、共和党が近年優勢なウェストバージニア州以外で保有する議席を全て守り、かつバイデン大統領が当選する必要がある。そうなれば50対50となり、副大統領が務める上院議長の議決で51票を確保できる。

ただし、それはかなり難しい。逆にトランプ氏が勝利した場合、共和党が上院で過半数を獲得できる可能性が高い。接戦が予想される下院も過半数を取る可能性が高まる。

仮に共和党が政権・上下院を独占した場合、バイデン政権のもとで実現したさまざまな政策・ルールが巻き戻される可能性に留意すべきである。まず、今後施行される規則について、議会審査法(Congressional Review Act, CRA)に基づき停止・無効とされるリスクが高まる。また、インフラ投資雇用法(IIJA)やインフレ抑制法(IRA)は多額の予算を計上しているが、執行に至っていない額は多く、残る執行は新政権が手掛けることになる。共和・民主で隔たりがある領域について、日本企業としても補助金や税額控除を見込んだ先行投資には注意が必要である。

【米国事務所】

「2024年6月13日 No.3640」一覧はこちら