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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年6月13日 No.3640 より質の高いインフラ投資の実現に向けて -OECDからブルードットネットワークについて聴く

経団連は5月17日、オンラインでブルードットネットワーク(BDN)に関する説明会を開催した。エドウィン・ラウBDN事務局仮代表(前OECDパブリックガバナンス局インフラ・公共調達課長)、フアン・ガリンOECDパブリックガバナンス局政策アドバイザーから、BDN認証の現状と展望について、実例を交えた説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ BDNとは何か

BDNは2019年、日本主催のG20サミットで合意された質の高いインフラ投資を実現するため、高水準の原則を実際のプロジェクトレベルで運用可能とするツールとして開発された。その目的は、当該プロジェクトが環境、社会、ガバナンス、経済等の面で持続可能で、強靭性、開放性、透明性、効率性を備えていることを投資家や関係者に信頼できる指標として提供することである。

■ BDN認証とその基準

BDN認証はプロジェクトごとに任意に行われる。プロジェクトの自己評価情報を第三者認証機関で検証したうえで、認証が付与される。認証の有効期間は5年で、年次モニタリングが行われる。経済、社会、ガバナンス、環境の10の要素から構成されるBDN独自の認証基準を満たすことをフレームワークとするが、国際金融公社(IFC)基準など既存の国際基準に適合していれば問題はない。先進的な取り組みを行えば、最大三つの「ブルードット」が付与される。プロジェクトのライフサイクル全体を通じたマネジメントを重視している。また、温室効果ガス排出の条件など、各国の事情に応じ柔軟に運用することを検討している。認証取得の申請時に全ての基準を満たしている必要はなく、プロジェクトの段階に応じてコミットメントを認める仕組みもある。

■ BDN認証のメリット

BDN認証を取得することで、当該プロジェクトの投資家への訴求力が高まり、資金調達が容易になることが期待される。また、ESG関連の報告書作成の簡素化や、建設請負業者やプロジェクト開発業者などステークホルダーによる評価の向上、入札の際の有利性の確保などのメリットも見込まれる。あわせて、政府や地域コミュニティにとっても、持続可能な開発の推進やインフラ投資の促進につながる。

■ 今後に向けて

24年4月にBDN事務局が立ち上がり、認証プロセスが開始された。パイロットプロジェクトが進行中で、今夏には最初の認証プロジェクトが誕生するだろう。今後は、デジタルプラットフォームの構築や、MDBs(注1)やDFIs(注2)が関与するプロジェクトにおける認証手続きの一層の簡素化、開発途上国向けの支援なども検討している。また、認証プロジェクトのプロセスの公開や、プロモーション活動も実施していく。

(注1)Multilateral Development Banks、国際開発金融機関。主に世界銀行、アフリカ開発銀行(AfDB)、アジア開発銀行(ADB)など

(注2)Development Finance Institutions、開発金融機関

【国際協力本部】

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