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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年6月13日 No.3640 医療等情報の二次利用に関するワーキンググループにおける検討状況と今後の取組 -イノベーション委員会ヘルステック戦略検討会

田中氏

経団連は5月17日、東京・大手町の経団連会館でイノベーション委員会ヘルステック戦略検討会を開催した。厚生労働省の田中彰子医政局参事官(特定医薬品開発支援・医療情報担当)から、「医療等情報の二次利用に関するワーキンググループにおける検討状況と今後の取組」と題して説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 検討の背景

医療デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に関する工程表や規制改革実施計画において、医療等情報の利活用のため、制度・運用の整備および情報連携基盤の構築等を検討することとされた。

一方海外では、欧州における健康特有のデータ共有の枠組みであるEHDS(European Health Data Space)法案が2022年に公表され、わが国でも同様の対応を求める声が高まった。

このような国内外の状況を踏まえ、医療等情報の二次利用に関するワーキンググループを立ち上げ、23年11月から複数回開催し、議論を深めた。

■ 議論の整理と今後の進め方

同ワーキンググループでは、医療等情報の二次利用のさらなる促進を図るため、主に(1)公的データベースで仮名化情報を利用・提供する場合の法制的論点(2)情報連携基盤の整備の方向性に係る論点(3)医療DXの推進に関する論点――を検討した。

同ワーキンググループでの議論を踏まえ、各論点について次のように整理した。

論点(1)については、医療等情報の利用目的に「相当の公益性がある場合」に仮名化情報のデータ保有者から第三者への利用・提供を可能とする。相当の公益性に関しては、医療分野の研究開発を含め広く認めるようにする。

また、公的データベースで仮名化情報を研究機関等の第三者に提供するに当たり、提供に関する本人の同意取得を前提としないが、政府としても保護措置等を講ずることで本人の権利利益を適切に保護する。

そのほか、医療現場・患者・国民の理解や利活用促進のための施策の実施や、仮名化情報の連結解析に関する適切な審査、研究者や企業等が公正かつ適切に利活用できる環境の整備を行う。

論点(2)について、政府としてデータ解析のための環境を整えるほか、情報連携基盤において求められる情報セキュリティを検討する。また、研究の目的・内容、安全管理措置等に関する審査を原則として一元的に行う。

論点(3)に関して、電子カルテ情報共有サービスで共有される臨床情報の二次利用を可能とし、他のデータベースとの連結解析も可能とするほか、データの標準化・信頼性確保のための取組も進める。

医療等情報の二次利用は臨床・研究利用、行政利用共にさまざまなメリットを生み、国民に多大な利益をもたらす。厚労省としては国内外の動向等を踏まえ、医療等情報の二次利用の推進に向けたさらなる法整備の必要性やそのあり方について引き続き検討する。

【産業技術本部】

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