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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年6月13日 No.3640 SSBJ基準案の概要 -金融・資本市場委員会ESG情報開示国際戦略タスクフォース

経団連は5月15日、金融・資本市場委員会ESG情報開示国際戦略タスクフォースを開催した。サステナビリティ基準委員会(SSBJ)の川西安喜委員長と中條恵美常勤委員から、3月に公表されたサステナビリティ開示基準案(SSBJ基準案)の概要について、説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ SSBJ基準案の開発方針、構成

(図表のクリックで拡大表示)

SSBJ基準案の開発は、国際的な比較可能性を確保するため、「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」IFRS S1号および「気候関連開示」IFRS S2号(S1.2号をまとめてISSB基準)との整合性を図る形で進めた。結果として、SSBJ基準案にはISSB基準の要求事項を全て取り入れることとした。

SSBJ基準案は、(1)ユニバーサル基準(基本的な事項を定めた部分=適用基準)(2)テーマ別基準(一般基準)(3)テーマ別基準(気候基準)――の三つの要素から構成される。分かりやすさの観点から、SSBJ基準案では、IFRS S1号の要素を(1)と(2)に区分し、別個の基準として公表した(図表参照)。

■ ISSB基準との基準差異

一部の項目については、ISSB基準の要求事項と異なる取り扱いを選択的に認めているほか、ISSB基準に追加してSSBJ基準独自の取り扱いを提案している。前者において、ISSB基準の要求事項と異なる取り扱いを選択適用したときはISSB基準との差異が生じる場合があるが、当該取り扱いを選択しなければ、ISSB基準に準拠したことになるよう意図している。

なお、選択が認められる異なる取り扱いの例としては、サステナビリティ情報開示について、ISSB基準で求められる「財務諸表と同じ報告期間」だけでなく、「当局に提出した地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)による直近の温室効果ガス排出量のデータの算定期間」も選択できる定めを設けている。基準間の差異等の一覧および項番対照表はSSBJの特設サイトで公開している。

■ 委員間で意見の分かれた項目

SSBJ基準案の取りまとめに当たっては、委員間で意見が分かれた項目もあった。当該項目については、多数派の意見をSSBJ基準案として提案し、採用されなかった少数派の案も「結論の背景」に理由とあわせて詳述した。

例えば、産業別基準の取り扱いについて、SSBJ基準案ではISSB基準と同様に「SASBスタンダード(注)における開示トピックを参照し、その適用可能性を考慮しなければならない」旨の定めを設けたが、これを要求するのではなく「考慮することができる」旨の定めとすべきとの意見もあった。

また、SSBJ基準独自の取り扱いとして、「スコープ1、スコープ2およびスコープ3の温室効果ガス排出の絶対総量の合計値を開示しなければならない」旨の定めを設けたが、これを不要とする意見もあった。

■ 今後の展開

SSBJは、SSBJ基準案へのコメントを7月31日に締め切った後、2025年3月末までの最終化を目指す。なお、SSBJ基準の適用対象や適用時期等については、24年3月から金融庁の金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」において検討が進められている。SSBJ基準の最終化に向けて大きな影響を及ぼすことから、今後の動向が注目される。

(注)サステナビリティ会計基準審議会(Sustainability Accounting Standards Board)は、ESG要素に関する開示基準を設定する米国の非営利団体。SASBスタンダードは、産業界を11セクター77業種に分け、業種ごとに企業の財務パフォーマンスに影響を与える可能性が高いサステナビリティ課題を特定している

【経済基盤本部】

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