1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2024年7月18日 No.3645
  5. 「プラネタリーヘルス産学連携イニシアティブ」に関する説明会

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年7月18日 No.3645 「プラネタリーヘルス産学連携イニシアティブ」に関する説明会 -バイオエコノミー委員会

経団連のバイオエコノミー委員会(小坂達朗委員長、岩田圭一委員長)は6月24日、「プラネタリーヘルス産学連携イニシアティブ」に関する説明会を東京・大手町の経団連会館で開催した。同イニシアティブは、プラネタリーヘルス(地球の健康)に対する産業界の理解・学びを促し、地球規模の課題解決に向けた産学連携を促進するための枠組みとして、東京大学と仏パスツール研究所による「プラネタリーヘルス・イノベーションセンター」(Planetary Health Innovation Center, PHIC)と共に立ち上げるもの。概要は次のとおり。

■ 世界最先端のバイオエコノミーの確立に向けた経団連の取り組み
(小坂委員長)

経団連は2022年6月にバイオエコノミー委員会を設立した。バイオテクノロジーの進化は、社会課題の解決と持続可能な経済成長を実現し、社会のあり方を大きく変革する、すなわちバイオトランスフォーメーション(BX)をもたらす可能性を秘めているとの認識のもと、精力的に活動を行ってきた。

各国がバイオ戦略を策定し、取り組みを強化するなか、わが国も旧来の戦略を全面改定し、24年6月に「バイオエコノミー戦略」を公表している。経団連の提言も大きく反映されている。

経団連では、BX実現に向け、今後も産業界としてのアクションを確実に実行していく。

■ 日本パスツール研究所の意義と活動予定
(フィリップ・クリルスキー仏パスツール研究所前所長・名誉理事長)

クリルスキー氏

卓越した研究力と強い産業を持つ日本に、このたび日本パスツール研究所が設立されることを大変うれしく思う。仏パスツール研究所は00年にグローバル展開を開始し、これまでに世界で約30のパスツール研究所を設立している。日本パスツール研究所では、地球の健康、高齢化、感染症、がんといった、日本が抱える課題を解決するための研究に取り組む。仏パスツール研究所から独立した研究機関ではあるが、フランスおよび世界各地のパスツール研究所ネットワークが有する知見を惜しみなく提供し、日本のイノベーションに貢献したい。

■ PHICの意義と活動予定
(五十嵐圭日子PHIC共同代表兼マネジングディレクター/
東京大学大学院農学生命科学研究科教授・総長特任補佐、
方健太郎PHICマネジングディレクター/
エクサイノベーションスタジオ〈Exa Innovation Studio〉共同代表)

五十嵐氏

方氏

人間の健康を突き詰めていくと、環境に対して負荷をかけることは避けられない。その環境負荷が翻って人間の健康に負の影響を与えている。すなわち、いまや人間の健康と地球の健康は同時に考えなければならず、そういった文脈のなかでプラネタリーヘルスという概念が出てきた。

東京大学と仏パスツール研究所はPHICの設置に関する基本合意書を23年10月に締結した。PHICは、東京大学が誇る生命科学に関わる幅広い研究領域・人材と、仏パスツール研究所の先端研究・ネットワークを生かし、産官学で世界に貢献するイノベーションを興していくための活動を行う。具体的には生命科学人材の育成、国際研究支援、新規事業の開発支援、大学発スタートアップ支援、生命科学に関する投資ファンドの設立など、実践的な研究からビジネス化につながる事業を開始する。

高輪ゲートウェイには、研究設備を有するキャンパスを設け、学部の壁を越えて最先端のライフサイエンスに携わる研究者、プラネタリーヘルスに取り組む企業の方々と共に、社会実装に向けた取り組みを推進していく予定である。

■ TAKANAWA GATEWAY CITYにおけるPHD Lab. の構想
(髙木浩一東日本旅客鉄道執行役員・マーケティング本部まちづくり部門長)

髙木氏

PHICの活動拠点となるTAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)は、「100年先の心豊かなくらしのための実験場」というコンセプトのもと、モビリティ・環境・ヘルスケアを重点テーマに、地球益の実現につながる社会課題解決に取り組む。その一環で、東京大学との100年間のパートナーシップのもと、プラネタリーヘルス・デザイン・ラボラトリー(Planetary Health Design Laboratory, PHD Lab.)を設立し、人と地球の健康をバランスよく両立させるくらしづくりに取り組む。高輪ゲートウェイシティをはじめ約1700の駅、1500万人の利用者との接点等が、研究から生まれたアイデアを社会実装するための実験場となる。

■ プラネタリーヘルス産学連携イニシアティブ立ち上げについて
(大内香同企画部会長)

同イニシアティブを通じ、地球規模の重要課題の解決に向けたイノベーションについて考える視座を提供するとともに、各社の具体的な取り組みや産学連携につなげていくことを目指す。そのため今後の会合では、PHICによる個別の研究開発プログラム事例の紹介に加え、産業界への具体的な期待や連携方法を提示していく。同イニシアティブが、プラネタリーヘルスに貢献し得る事業アイデアを検討・構想するコンソーシアムの組成や、個別の事業化プロジェクトにつながる契機となることを期待する。

【産業技術本部】

「2024年7月18日 No.3645」一覧はこちら