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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年7月25日 No.3646 DFFTの具体化に向けた説明会を開催

経団連が掲げるSociety 5.0 for SDGsを実現するためには、信頼性のある自由なデータ流通(Data Free Flow with Trust, DFFT)を具体化することが不可欠である。経団連では折に触れて、デジタル庁から説明を聴取するなど(2023年11月23日号既報)、DFFTをめぐる国内外の動向を注視してきた。

24年5月のOECD閣僚理事会や同年6月のG7プーリア・サミットにおいて、DFFTの重要性が改めて強調されたことなどを踏まえ、経団連は7月2日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催した。デジタル庁の目黒麻生子企画官、経済産業省商務情報政策局の津田麻紀子国際戦略企画調整官から、DFFTの具体化に向けた最近の動向と日本政府の取り組み等についてそれぞれ説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 国際データガバナンス形成に向けた取り組み(目黒氏)

23年5月の「G7広島サミット宣言」において、「DFFT具体化のための国際枠組み」(Institutional Arrangement for Partnership、IAP)の立ち上げが承認された。その後同年12月、G7デジタル・技術大臣会合で採択された「DFFTの具体化に関する閣僚声明」を受け、IAPは、事務局をOECDに設置し、既存の委員会(政策分野ごとのOECD加盟国の意思決定機関)を活用しながら、DFFTに関する多数国間の政策立案・調整や技術的ソリューションの推進等を担うことが決まった。具体的には、委員会のもとに、政府関係者と専門家・ステークホルダーから成る作業グループを設置し、委員会の政策立案に対する助言等を行う。また、作業グループごとにさまざまな国際組織・機関や標準化機関等と連携した共同プロジェクトを実施することで、各組織・機関の加盟国に対し共通のソリューションを提供することも可能となった(図表1)。

(図表のクリックで拡大表示)

こうしたIAPの活動やその組織強化を通じて、価値観を共有する多数国間で議論を行い、DFFTの具体化に向けた方向性を見いだしていくことは、わが国の国際データガバナンス形成に向けた取り組みの「第1レイヤー」として位置付けられる。これに加え、二国間・少数の同志国間において、プライバシー保護やデータセキュリティの基準作りといった分野横断的な個別課題について議論し、政策調整や相互運用性の向上を図る「第2レイヤー」のアプローチも同時に進めていく。

これらの国際データガバナンス形成に向けた取り組みは、国内事業者等の声を踏まえて進めることが前提となる。そこでデジタル庁の主導で、「国際データガバナンスアドバイザリー委員会」(会長=河野太郎デジタル大臣)と「国際データガバナンス検討会」(座長=山本龍彦慶應義塾大学大学院法務研究科教授)を設置し、関係省庁間および官民の連携強化を図りつつ、国内外一体のデータエコシステム構築に向けて取り組んでいる(図表2)。

(図表のクリックで拡大表示)

また、その具体的な取り組みの一つとして、企業間、業界間、国際間におけるデータ連携・活用を推進するために、データガバナンスに関するガイドラインの作成を進めていく。

■ 産業データサブワーキンググループの取り組み(津田氏)

国際データガバナンス検討会には、複数のサブワーキンググループが設置されている。その一つが、産業データの越境移転について議論する「産業データサブワーキンググループ」(座長=生貝直人一橋大学大学院法学研究科教授)である。

今後、各国・地域において産業データに関するルール整備が加速する可能性がある一方、各国・地域のデータ法制には、保護すべき情報の意図せぬ流出や、データの円滑な越境移転の制限等、企業利益と相反するリスクが存在している。

そこで同サブワーキンググループでは、(1)産業データが国境をまたぐ際にどのようなリスクがあるのかを特定する(2)事業者の取り得る対応策を整理する(3)マニュアルの形で発信する――ことで、事業者の適切なデータマネジメント、ひいては産業データのDFFTにつなげていきたいと考えている。

今後とも、産業界と連携しつつ、国内外の取り組みを進めていきたい。

【産業技術本部】

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