経団連は4月24日、東京・大手町の経団連会館で、トルコのオメル・ボラット貿易大臣との懇談会を開催した。日・トルコ経済連携協定(EPA)を生かした両国企業の協力推進などについて、ボラット大臣ならびにトルコ海外経済評議会(DEIK)の代表団と意見交換した。概要は次のとおり。

ボラット大臣(中央)、チャルック氏(右から1人目)、満岡委員長(左から3人目)
■ EPAの実現に向けた強力なリーダーシップの発揮を要望
冒頭、満岡次郎日本トルコ経済委員長が、2025年3月に経団連が公表した提言「日・トルコEPAの速やかな締結を求める」の内容に触れつつあいさつ。EPAの締結によって、(1)日本企業のトルコへの直接投資やトルコから第三国市場への輸出が拡大する(2)互いのEPA・自由貿易協定(FTA)ネットワークを両国の企業が活用することで、トルコ企業のアジア太平洋地域への展開も容易になる――など、EPAのメリットを述べた。加えて、ボラット大臣に対して、EPAの実現に向けて強力なリーダーシップの発揮を求めた。
■ EPAによって貿易赤字を解消し、真のウィンウィンの関係を確立
これに対し、ボラット大臣は、「日本との貿易赤字を解消するうえでEPAは重要である。EPAは、貿易の多様化とリバランス、投資の拡大、そして真のウィンウィンのパートナーシップを確立するための戦略的ツールになると信じている。引き続き最大限の努力をして、日本側との交渉に臨んでいきたい」とEPA締結の障壁の解消に向けて前向きな姿勢を示した。
また、「全ての国・地域がグローバリゼーションと国際貿易の機能の見直しを迫られているなか、信頼と相互利益に基づくパートナーシップがこれまで以上に重要である。技術革新や先端技術の分野で世界をリードする日本は、トルコと互いに得意な分野で補完し合える重要なパートナーである。今後は自動車や機械設備、エネルギー、デジタル産業、スマートシティ、インフラ・輸送などの分野で、第三国への輸出に向けた直接投資を増やしてほしい」と要望した。
トルコの経済界を代表して、DEIKのアフメット・チャルック トルコ日本経済委員長は、「トルコと日本の間の貿易・投資関係を発展させ、貿易バランスを保つことが重要である。われわれは、両国が恩恵を受ける形でEPAの交渉をまとめたいと考えている。この点で経団連が3月に公表した提言は重要である」と発言した。
【国際経済本部】