
ラデフ大統領(中央)十倉会長(左)、髙島副会長(右)
経団連の十倉雅和会長(当時)、髙島誠副会長・ヨーロッパ地域委員長は5月19日、東京・大手町の経団連会館で、ブルガリアのルメン・ラデフ大統領一行と懇談した。ブルガリア側の発言概要は次のとおり。
日本とブルガリアは長年にわたり、信頼に基づく友好関係を築いてきた。政治面で強い結び付きがあるだけでなく、経済・文化面での結び付きも強い。1970年日本万国博覧会(大阪万博)がきっかけでブルガリアのヨーグルトが日本で広まったことは両国の交流の歴史における象徴的な出来事である。またわが国のバラ祭りには毎年、多くの日本人が訪れている。
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)では、投資先としてのブルガリアの新たな魅力を伝えたい。伝統的には農業国であり、ワインやバラも輸出しているが、現在の最大の輸出品目は電子製品である。また、特に自動車部品の生産が盛んであり、欧州域内の多くの自動車にはブルガリア製の部品が使われている。IT産業も盛んであり、自動車用のソフトウエアに加え、全世界向けにクラウドサービス等を提供しているほか、サイバーセキュリティにも強みがある。AIの研究所である「コンピューターサイエンス・人工知能・技術研究所」(INSAIT)を設立し、理化学研究所や日本企業とも協力を始めたほか、EUの高性能コンピューティング共同プロジェクト(EuroHPC)に基づき、AI分野に特化したスーパーコンピューターを設置する拠点の一つとして選ばれた。宇宙産業の振興にも取り組んでおり、人工衛星においてわが国は、過去3年でバルカン半島全体の合計よりも多く打ち上げている。加えて、防衛産業も協力を強化できる分野として期待している。
わが国の競争力の源泉は人材である。人口は700万人に満たないが、若い高度人材が豊富であり、特に数学・物理・化学に強みを持っている。また、経済情勢も安定しており、法人税率は10%と低く、EUへの玄関口を目指してビジネス環境整備に取り組んでいる。
われわれは日本のビジネスモデルを尊敬しており、ビジネスと教育をいかに結び付けているかを学びたい。日本との経済協力の強化に期待している。経団連ミッションにブルガリアを訪問してほしい。
【国際経済本部】