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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年6月5日 No.3685 生物多様性分野を巡る最近の動向と環境省の2025年度主要施策 -経団連自然保護協議会

経団連自然保護協議会(西澤敬二会長)は4月23日、環境省自然環境局の鈴木渉生物多様性戦略推進室長、永田綾生物多様性主流化室長ら担当者から、生物多様性分野を巡る最近の動向と環境省の2025年度主要施策について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 生物多様性に関する国際動向と国内対応の方向性

24年10月に開催された生物多様性条約第16回締約国会議(CBD・COP16)では、民間参加者が大幅に増加するなど、世界の関心の対象が「昆明・モントリオール生物多様性枠組」(GBF)の着実な実施に向けた具体的取り組みへと広がりつつある。

24年10月の交渉で決着しなかったGBFへの取り組みに関するレビューメカニズム・モニタリング枠組みと資源動員については、25年2月のCBD・COP16再開会合第2部で合意文書の採択に至った。(1)モニタリングの枠組みやグローバルレビューのプロセス・タイムライン(2)資源動員のロードマップとして30年までに、恒久的な資金メカニズム設立の検討を含むあらゆる資金源からの資源動員を評価・改善すること――を決定した。これらの点は大きな成果である。

グローバルレビューのベースとして26年2月末までに提出が義務付けられている国別報告書の作成に向けて、日本では「生物多様性及び生態系サービスの総合評価2028」(JBO4)の中間提言を取りまとめる。その過程で得られる科学的知見を踏まえる形で、25年秋をめどに生物多様性国家戦略の中間評価を行う。企業による貢献もグローバルレビューの評価対象となるため、日本としてどのような取り組みを報告するか、経団連とも相談しながら検討していく。

■ NP経済移行に向けた環境省の取り組み

現在、24年3月に策定した「ネイチャーポジティブ(NP)(注)経済移行戦略」のロードマップ等を検討している。ロードマップでは、NP経済・社会への転換に向けて、自然資本保全の取り組みを企業の価値向上に結び付けることを目指し、「NPな地域づくりで企業と地域の価値向上」「NP経営実践拡大・深化に向けた自然資本価値可視化、情報開示促進」「自然関連領域の国際ルールメーキング、国際競争力強化」――の三つの視点に基づき、今後5年間の施策の整理を進めている。

具体的には、地域生物多様性増進法に基づく「自然共生サイト」をはじめとする生物多様性見える化システムの整備、自然関連財務情報の開示支援、NP経営推進プラットフォームの開設、グローバルバリューチェーンにおけるNP課題に関する検討など、さまざまな個別施策の展開に取り組んでいる。

(注)自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させること

【教育・自然保護本部】

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