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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年7月24日 No.3692 アジアの連携・協力推進に向けて12の経済団体が議論 -第14回アジア・ビジネス・サミットを開催

経団連(筒井義信会長)は7月3、4の両日、フィリピン・マニラで比日経済委員会(PHILJEC)と共に、第14回アジア・ビジネス・サミット(ABS)を開催した。ABSは、豊かなアジア経済の実現を目的に経団連が開催を提唱したものであり、2010年に第1回会合を東京で開催した。アジアの主要な国・地域の経済界のトップが一堂に会し、共通の課題への対応等について意見交換し、共同声明を取りまとめてきた。今次ABSには、11の国・地域から12の経済団体が参加。経団連からは遠藤信博副会長、兵頭誠之副会長、原典之審議員会副議長が出席した。概要は次のとおり。

■ マルコス・フィリピン大統領表敬訪問

マルコス大統領表敬

ABS開催に先立ち、各経済団体の代表者がフェルディナンド・マルコス大統領を表敬訪問した。

マルコス大統領は、国際情勢の安定化に向けた国際協力の重要性を強調したうえで、フィリピンは視野と選択肢を広げ、アジアやインド太平洋以外の地域のパートナーとも関係を強化していくと表明した。

参加者を代表して遠藤副会長は、ルールに基づく自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化の重要性、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)における連携への期待を述べた。

■ 各セッションの議論

ABSの模様

今次ABSでは、四つのセッションに分けて議論した。

第1セッションでは、参加国・地域それぞれの経済情勢や見通しについて討議した。

多くの国・地域から、経済情勢は比較的堅調に推移しているとの指摘があった。一方で、先行きの不透明感が増すなかで、各国・地域単独での経済成長の実現は不可能であり、サプライチェーンの強靭化、インフラの連結性の強化、経済連携協定締結の推進などの必要性が強調された。

第2セッションでは、貿易・投資戦略をテーマに討議した。

経済連携協定(EPA)・自由貿易協定(FTA)の拡大・深化、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の関税削減対象の拡大、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)に条件を満たす国・地域の新規加入への期待、経済特区の活用など、アジア大洋州における貿易投資促進に向けた具体的な方策について意見が交わされた。

第3セッションでは、イノベーション、グリーントランスフォーメーション(GX)をテーマに討議した。

特にカーボンニュートラル(CN)実現の具体的な方策に関して活発に議論し、AZECでの連携、グリーンファイナンスの重要性などの意見が示された。

気候変動への適応策として、防災・減災に向けた技術・知見の共有の必要性も指摘された。

第4セッションでは、人への投資と移動の円滑化をテーマに討議した。

社会課題解決に貢献する人材の育成や資格の相互承認、ハイスキルの労働者の移動の簡素化など、地域の人材の交流・育成の活性化について活発に意見交換した。

これらの議論を踏まえ、共同声明を取りまとめた。次回サミットはシンガポールで開催予定。

【国際協力本部】

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