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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年7月31日 No.3693 カスタマーハラスメント対策・法務&実務セミナーを開催

橘氏

経団連事業サービス(筒井義信会長)の人事賃金センターは7月8日、「カスタマーハラスメント対策・法務&実務セミナー」を都内会場とオンラインのハイブリッド形式で開催した。同センター会員や経団連会員等の人事・広報・営業担当者ら約40人が参加した。

顧客や取引先等からの暴言・脅迫・不当要求といった著しい迷惑行為である、いわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ)については、2022年に厚生労働省が企業向けに「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を作成した。

23年には労働災害認定基準にカスハラ項目が追加され、25年6月には、カスハラ対策を新たに盛り込んだ労働施策総合推進法等改正法が国会で可決・成立した(注)。カスハラ対策は今や法的にも企業の重要な責務である。

今回のセミナーでは、石嵜・山中総合法律事務所の橘大樹パートナー弁護士が講師を務め、労働施策総合推進法等改正法におけるカスハラ対策の概要やポイントを解説した。

橘氏は「改正法の具体的な内容は、今後厚労省から指針が示される予定であり、それに基づき対応する必要がある。各企業としては、厚労省の『カスタマーハラスメント対策企業マニュアル』にのっとって対応すれば、今回の法改正対応につながる」と解説した。

特に企業の対策としては、(1)カスハラへの自社の基本方針を示し、従業員への周知・啓発を行う(2)カスハラを受けた場合の相談体制(職場の上司や相談窓口の設置等)を事前に整備する(3)発生時の対応方法や手順を定めておく(4)前3項の社内方針や対応ルールについての教育・研修を行う――の4点の事前対策が重要であると指摘した。

カスハラ対策としては、「顧客や取引先等からの過度な要求や暴言等から従業員を守ることが大事であるのは間違いないが、顧客等はどこからが過度か分からずに要求しているケースも多い。『過度な要求=カスハラ』と短絡的に決め付けず、顧客等への丁寧な接客・説明を心がけ、理解・納得してもらうことが重要である。それによりカスハラが減り、顧客等の満足度向上にもつながる。顧客等の視点に立った対応がカスハラ対策には欠かせない」と強調した。

◇◇◇

経団連事業サービス人事賃金センターでは、今回のようなカスハラ対策に関するセミナーを3年前から毎年実施している。今後も法改正等の動向に合わせ、適宜実施していく予定である。

(注)公布日(6月11日)から起算して1年6カ月以内で、政令で定める日に施行予定

【経団連事業サービス】

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