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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年9月4日 No.3696 廃棄物処理制度、再資源化事業等高度化法の認定基準等の検討状況 -環境委員会廃棄物・リサイクル部会

角倉氏

経団連は7月30日、東京・大手町の経団連会館で環境委員会廃棄物・リサイクル部会(関口明部会長)を開催した。環境省環境再生・資源循環局の角倉一郎局長、成田浩司大臣官房審議官、相澤寛史資源循環課長、大川正人廃棄物規制担当参事官から、廃棄物処理制度および再資源化事業等高度化法の認定基準等の検討状況についてそれぞれ説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 循環経済への移行を日本の国家戦略に(角倉氏)

政府は、「第五次循環型社会形成推進基本計画」(2024年8月閣議決定)において循環経済への移行を国家戦略として位置付け、「循環経済への移行加速化パッケージ」を同年12月に取りまとめた。

循環経済への移行は、環境保全のみならず、日本の産業競争力の強化と経済安全保障の観点からも重要である。

世界的に再生材への需要が増大するなか、レアメタル等の重要鉱物を含む廃棄物等を海外に流出させず国内で資源として循環させること、再生材を質と量の両面で安定供給できる体制を整備すること、廃棄物の適正処理を確保することを前提に、再資源化事業等高度化法の施行準備と廃棄物処理制度の検討を進めている。

■ 再資源化事業等高度化法の認定基準等の検討状況(相澤氏)

本法では、再資源化事業等の高度化を促進するため、廃棄物処分業の許可等の手続きを不要とする特例が設けられる。

対象は、(1)製造側が必要とする質・量の再生材を確保するための広域的な分別収集・再資源化の事業を促進する高度再資源化事業(2)分離・回収技術の高度化に係る施設設置を促進する高度分離・回収事業(3)温室効果ガス削減効果を高めるための高効率な設備導入等を促進する再資源化工程の高度化事業――の3事業である。

高度再資源化事業では、申請者が統括管理する体制整備やトレーサビリティの確保が認定基準に含まれる一方、デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用した手続きのスリム化が図られ、再委託も可能となる。

高度分離・回収事業は、まずは太陽光パネル、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素蓄電池が指定廃棄物となるが、社会的な動向や高度な技術を用いた事業の状況を踏まえて、追加して検討する。

今後、認定に求められる類型別の定量的指標や申請手続き等の詳細が政省令等およびマニュアル・ガイドラインで示され、11月に全体施行される見込みである。

■ 廃棄物処理制度に係る検討状況(大川氏)

不適正ヤード問題(注)、処理期限以降に覚知されたポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の適正処理の確保の仕組み、災害廃棄物の適正かつ円滑・迅速な処理に関する制度の点検見直しについて検討が重ねられ、25年6月の審議会で中間取りまとめが行われた。

不適正ヤード問題への対策として、廃鉛蓄電池等の有害性の高い物品や金属・雑品スクラップ等が適正に解体・処分されるよう規制するとともに、不適正な輸出の防止につながるよう検討を進めたい。

PCB廃棄物に関しては、高濃度PCBは覚知後の届け出と一定期間内の処理を義務付けるとともに、新たな処理体制の整備を行うこと、使用中の低濃度PCB使用製品等の管理制度を創設することなどを検討している。

災害廃棄物処理については、令和6年能登半島地震等における経験・課題を踏まえ、各自治体の支援体制や災害廃棄物処理計画、災害支援協定に基づく特例措置等の整備、廃棄物最終処分場での受け入れ容量確保に係る特例制度を創設することなどを検討している。

(注)一部の保管場(ヤード)において、雑品スクラップ等の不適正な保管や処理に起因した騒音や悪臭、公共用水域や土壌の汚染、火災の発生等の生活環境保全上の支障が生じていることに加え、解体により得られた金属資源等が不適正に輸出されている問題

【環境エネルギー本部】

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