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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年10月2日 No.3699 「令和8年度税制改正に関する提言」を公表 -加藤財務相に建議

加藤大臣(右)と宮永委員長

経団連(筒井義信会長)は9月16日、「令和8年度税制改正に関する提言~成長と分配の好循環の定着に向けて」を公表した。

同日、宮永俊一税制委員長が加藤勝信財務大臣を訪問し、同提言を建議した。

宮永委員長は、令和8年度税制改正に向け、研究開発税制の維持・強化や、大胆な設備投資減税などを要望するとともに、持続可能な社会保障制度の構築や財政健全化に向けた税・財政・社会保障一体改革の必要性を訴えた。

これを受け、加藤大臣は、成長と分配の好循環に向けた方向性は政府と経済界で同じであるとしたうえで、企業の利益が国内投資や賃金引き上げにつながることは重要であると応じた。

提言では、経団連の中長期ビジョン「FUTURE DESIGN 2040」(FD2040)で示された方向性を踏まえながら、持続的な成長の実現に向け、積極的な国内投資の拡大を促すための税制の構築を令和8年度改正の重要課題として掲げた。あわせて、分配の観点から、税・財政・社会保障一体改革などについて、検討に着手すべきと指摘している。概要は次のとおり。

1.成長の実現に向けた税制の構築

設備投資の増加、高水準での賃金引き上げなど、足元での前向きな動きを着実なものとしていくには、官民を挙げて国内の投資環境を整備していくことが必要である。

米国やドイツで積極的な国内投資促進策の実施が見込まれるなか、わが国の法人実効税率が高いことなどを踏まえると、仮に法人税率がこれ以上高くなった場合、立地競争力が大きく劣後し、国内投資や賃上げ機運にマイナスの影響を与えることが強く懸念される。

科学技術立国に向けて、研究力強化・イノベーション創出を後押しする税制措置が重要である。とりわけ、研究開発税制の維持・強化が不可欠であり、一般型の維持、オープンイノベーション型の改善に加え、戦略的に重要な技術領域への支援強化などが求められる。

各国間での投資誘致競争を踏まえると、他国に劣後しない大胆な設備投資減税措置を検討すべきである。スタートアップの振興に向け、オープンイノベーション促進税制の延長なども必要である。

自動車関係諸税については、車体課税の中長期的な課題を含め、総合的な見直しが求められる。令和8年度改正においては、環境性能割の廃止などを実現すべきである。

2.持続的な分配に資する税制の構築

公正・公平で持続可能な社会保障制度の構築に向け、税・財政・社会保障一体改革の議論を進めるべきであり、応能負担(富裕層の負担増)の徹底による税と社会保険料のバランスの適正化などについて検討が求められる。

党派を超えた国民会議的な場として、「税・財政・社会保障一体改革推進会議」(仮称)を設置し、議論していくことが必要である。

働き方や職業選択に中立的な税制を構築する観点から、退職所得控除等について見直しを行うべきである。企業年金等の積立金に係る特別法人税は廃止すべきである。

3.企業のグローバル活動を下支えする税制

グローバル・ミニマム課税については、米国のミニマム課税制度との共存に向け、今後、各国が早期に合意に達することが期待される。外国子会社合算税制については、過剰課税の解消および事務負担の軽減を図る観点から、早急な見直しが不可欠である。

【経済基盤本部】

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