経団連の日本ブラジル経済委員会(安永竜夫委員長)は9月9日、ブラジル・サンパウロで、ブラジル全国工業連盟(CNI)と第26回日本ブラジル経済合同委員会を開催した。ブラジル側から、グスタボ・ピメンタCNIブラジル日本経済委員長、ラファエル・セルボーン サンパウロ州工業連盟(FIESP)会長代行、日本側からは安永委員長をはじめ、日伯双方から約400人が出席した。概要は次のとおり。

■ 開会セッション
開会あいさつで安永委員長は、2025年に日伯が外交関係樹立130周年を迎えるなかで具体的な協力が進展することを期待すると述べた。
そのうえで、各国が内向き姿勢を強めるなか、両国が国際経済秩序の維持・強化に努めるとともに、自由で開かれた市場を創出し、サプライチェーンの多様化・強靭化に取り組むことが不可欠であるとして、日メルコスール(南米南部共同市場)経済連携協定(EPA)の早期実現が重要と強調した。
セルボーン氏は、EPAの締結で約4億人の市場が誕生し、経済発展の可能性がさらに高まると指摘した。
■ 議論の模様
開会セッションの後、四つのテーマに分かれて日伯双方から発表し、モデレーターと登壇者が質疑応答を行った。
第1セッションでは、現在の日伯双方の経済情勢とEPAの機会を巡って議論した。EPAの締結は自由で公正な競争環境の確保、新たなビジネスの推進、貿易・投資関係の多様化に資するとの意見が共有された。
日本側は、メルコスールとのEPA交渉で、主要な製品で競合するEUや韓国に後れを取っているとの危機感を示した。
ブラジル側は、日本はEPA締結国からの輸入が拡大しているとの分析を示し、EPA締結は急務と指摘した。
第2セッションでは、グローバルバリューチェーンの多様化と強靭化を巡って議論した。
25年3月に日伯両政府間で合意した「日・ブラジル戦略的グローバル・パートナーシップ・アクションプラン2025-2030」のもと、鉱物資源やバイオ燃料などのバリューチェーンの強化に関する取り組み推進の重要性が強調された。
第3セッションでは、産業界の脱炭素化および環境保全を巡って議論した。
自動車分野でのバイオ燃料の使用に大きな可能性があるとして、ブラジルのエタノールと日本の技術の融合、その技術を用いた自動車の第三国への展開が紹介された。
温室効果ガス(GHG)削減に向けた日伯間での二国間クレジット制度(JCM)締結への期待も示された。
第4セッションでは、イノベーションとテクノロジーによる新たな日伯経済協力を巡って議論をした。
ソーシャルイノベーションの実現のため、信頼性のあるデータ流通の重要性が強調され、災害予防での日伯連携の推進に期待が示された。
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合同委員会での議論を踏まえ、経団連とCNIは共同声明をまとめた。
日本ブラジル経済合同委員会では、日メルコスールEPAの早期実現を含めた、日伯の連携・協力推進のための施策を、政府に働きかけていく。
【国際協力本部】