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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年10月30日 No.3703 第71回北海道経済懇談会を開催

あいさつする筒井会長

経団連(筒井義信会長)と北海道経済連合会(道経連、藤井裕会長)は10月8日、札幌市内で「第71回北海道経済懇談会」を開催した。経団連からは筒井会長、冨田哲郎審議員会議長、副会長らが、道経連からは藤井会長をはじめ会員約180人が参加し、「新たな未来を創る北海道の挑戦~地方創生とさらなる価値の創出に向けて」を基本テーマに意見交換した。

開会あいさつで道経連の藤井会長は「北海道は広大で豊かな自然に恵まれており、日本を支える食料自給基地として、また再生可能エネルギーの宝庫としての強みを生かし、世界が憧れる北海道ブランドの確立を目指している」と述べた。

続いて筒井会長は「本日のテーマは、私自身が重視している『将来世代への責任を果たす』という視点と合致する」との認識を示したうえで、「経団連の中長期ビジョン『FUTURE DESIGN 2040』(FD2040)を発展的に継承し、日本経済の持続的な成長の実現に向けて、道経連の皆さまとも手を携えながら、全力で取り組んでいく」との決意を述べた。

■ テーマ1「半導体・GX産業の形成・集積を起点とした地域経済の活性化」

次世代半導体産業の拠点化に向けた基盤づくりや、北海道を起点としたグリーントランスフォーメーション(GX)の推進に関して、道経連から問題提起があった。これに対して経団連から、

  1. (1)次世代半導体産業では、官民連携によるインフラ等の整備や、国内投資の拡大による内需創造が重要であり、「北海道バレー構想」のもとで先端産業の集積を図るビジョンは、日本の成長戦略の重要な柱として期待している(澤田純副会長)
  2. (2)北海道では脱炭素電源の重要性が増しており、再エネの活用やワット・ビット連携、泊原子力発電所の再稼働などは、道内とわが国のカーボンニュートラル(CN)実現および持続的成長にとって重要である(小堀秀毅副会長)

――との発言があった。

■ テーマ2「食・観光の価値向上を通じた豊かな北海道の実現」

北海道農業の維持・強化による食料安全保障への貢献や、北海道の強みを生かした世界トップクラスの観光地域づくりに関して、道経連から問題提起があった。これに対して経団連から、

  1. (1)食料安全保障の確保や持続可能な農業の実現には、農地の集約・大規模化や、直播栽培等を通じた生産性の向上とともに、意欲と能力のある担い手が報われる環境の整備も含め、生産基盤の強化が不可欠である(小川啓之副会長)
  2. (2)世界トップクラスの観光地域づくりに向けて、二次交通としての北海道MaaS(Mobility as a Service)の整備や、アドベンチャーツーリズム等を通じた付加価値の高い旅行者の取り込みの推進に加え、オーバーツーリズムへの対処や地方誘客も重要である(野田由美子副会長)

――との発言があった。

■ テーマ3「地域の人材・産業を活かす新たな地方創生の推進」

地方創生に寄与する人材の育成・確保に関して、道経連から問題提起があった。これに対して経団連から、

  1. (1)地域経済の活性化には、人材の育成から活躍までの一体的な推進が重要であるほか、生産性の向上には、都市部から地方への人の流れの創出と、そのための人材の送り出し側と受け入れ側の双方における環境整備が重要である(永野毅副会長)
  2. (2)経団連として、行政区域にとらわれず、独自の施策を柔軟に実行する「新たな道州圏域構想」を提唱しており、「北海道バレー構想」をはじめとする取り組みが、地域経済・国内経済の活性化につながることを期待する(永井浩二副会長)

――との発言があった。

最後に、経団連の冨田審議員会議長が「国・地域がさまざまな課題に直面するなか、企業は、中長期的な視点と社会性の視座、全体最適の視座に立ち、マルチステークホルダー資本主義の理念に沿った成長戦略を実践すべきであり、それが地域経済の活性化や人材育成につながっていく」と総括した。

【総務本部】

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